利下げ急がず、物価懸念が雇用巡るリスクを上回る=米カンザスシティー連銀総裁

米カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁は21日、インフレ率が連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%をなお上回り、労働市場が堅調なことを踏まえると、利下げを急ぐ必要はないとの見解を示した。2023年8月撮影(2025年 ロイター/Ann Saphir)
[ジャクソンホール(米ワイオミング州)/ニューヨーク 21日 ロイター] - カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁は21日、インフレ率が連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%をなお上回り、労働市場が堅調なことを踏まえると、利下げを急ぐ必要はないと述べた。また、現時点ではインフレを巡るリスクが労働市場が悪化するリスクを上回っているとの見方も示した。
シュミッド総裁はCNBCのインタビューに対し「われわれは極めて良好なポジションにある。現時点で政策を変更するにはかなり明確なデータが必要になる」と述べた。
その上で、インフレ率を目標水準に戻す過程で最終段階が困難になるとし、「利下げがインフレを巡る心理に及ぼす影響について慎重にならなければならない」と指摘。このところの雇用統計の弱さにもかかわらず企業関係者の間で楽観的な見方が広がっているとの印象を受けているとし、政策金利が現在4.25─4.50%に設定されていることで経済がそれほど圧迫されているとは考えていないと述べた。
シュミッド総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っている。ワイオミング州でこの日から3日間の日程で始まった経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」を前にCNBCのインタビューに応じた。
シュミッド総裁はその後、ヤフー・ファイナンスの番組で、トランプ政権が掲げる関税措置により、年末にかけてインフレリスクが高まる可能性があると指摘。第3、4・四半期にかけて企業が値上げに「やや傾く」可能性があるとし、現時点ではインフレを巡るリスクが労働市場が悪化するリスクを上回っていると述べた。