NY外為市場=ドル上昇、PPI受け来月の大幅利下げ観測後退

ニューヨーク外為市場では、ドルが広範な通貨に対し上昇した。2016年1月撮影(2025年 ロイター/Jason Lee)
[ニューヨーク 14日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、ドルが広範な通貨に対し上昇した。米国の7月の卸売物価指数(PPI)の伸びが予想を上回ったことで、今後のインフレ加速が示唆され、米連邦準備理事会(FRB)が次回9月の会合で通常より大きい0.50%ポイントの幅での利下げを決定するとの観測が後退した。
ドルは、ベセント米財務長官が日銀は金利を再び速やかに引き上げる必要があると示唆したことを受け、対円 で一時下落していたが、その後は上昇に転じ、終盤の取引では0.3%高の147.87円で取引された。
米労働省が発表した7月のPPIは前月比0.9%上昇と、伸びは予想の0.2%を上回り、2022年6月以来、約3年ぶりの大きさとなった。前年同月比では3.3%上昇。伸びは6月の2.4%から加速した。12日発表の7月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇と、伸びは前月の0.3%上昇から鈍化。前年比は2.7%上昇と、伸びは前月から横ばいだった。
7月のPPIを受けてもFRBが9月の会合で利下げを再開するとの観測に変化はなかったが、想定される利下げ幅が通常の0.25%ポイントではなく、0.50%ポイントになるとの見方は後退。トランプ政権が掲げる関税措置でインフレが向こう数カ月で押し上げられ、FRBの年内の金融緩和のペースが変わる可能性があるとの見方も台頭した。
ベセント財務長官は13日、FRBは9月に0.50%ポイントの利下げを開始し、その後一連の利下げを実施することが可能と述べていたが、ストーンXの市場調部門グローバル責任者、マット・ウェラー氏は、0.50%ポイントの利下げの公算はもともと小さかったと指摘。「7月のPPIでその可能性は完全に消えた」と述べた。
ベセント長官はこの日は、FRBは0.25%ポイントの利下げから始め、その後ペースを加速させることができると述べている。セントルイス地区連銀のムサレム総裁もこの日、FRBが9月の次回会合で0.5%ポイントの利下げを決定することは米経済の現状を踏まえると正当化されないとの考えを示した。
終盤の取引で主要通貨に対するドル指数は0.5%高の98.25。ユーロ/ドルは0.5%安の1.16413ドル。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは一時12万4480.82ドルまで上昇。その後は失速し、終盤の取引では約4%安の11万8157ドル。
ドル/円 NY午後4時 147.76/147.80
始値 146.52
高値 147.95
安値 146.43
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1647/1.1649
始値 1.1695
高値 1.1696
安値 1.1632