ニコン、4─6月期は営業赤字 米関税受け通期予想引き下げ

8月7日、ニコンは、2026年3月期通期の連結営業利益予想(国際会計基準)を360億円から210億円(前年比767.2%増)へ下方修正した。写真は同社のロゴ。2016年2月、横浜市内で撮影(2025年 ロイター/Thomas Peter)
[東京 7日 ロイター] - ニコンは7日、2026年3月期通期の連結営業利益予想(国際会計基準)を360億円から210億円(前年比767.2%増)へ下方修正した。
デジタルカメラなどの映像事業で、需要の変化を受けて製品構成が下方にシフトしたほか、顕微鏡などヘルスケア事業は米国市場が低迷し、販売が下振れた。前回予想に織り込んでいなかった米国の関税影響も反映した。IBESがまとめたアナリスト11人の営業利益予想の平均値306億円を下回った。
同社は、関税による通期の営業利益への影響を75億円と試算している。内訳は映像事業で50億円、ヘルスケア事業で20億円、デジタルマニュファクチャリング事業で5億円の減益要因となる見込み。
松本武史CFOは会見で、映像事業は米国向け売り上げが多く、生産拠点がタイや日本にあるため、関税の影響を最も大きく受けると説明した。この試算は、8月以降の関税率の前提を日本・EU15%、タイ19%、中国55%、英国10%としている。
関税によるコスト増に対応するため、同社は一部製品の値上げにも着手。松本CFOは、映像事業で6月下旬から、ヘルスケア事業の一部でも6月から値上げを実施したと説明。今後も状況を見極め、一部製品で値上げを検討せざるを得ない可能性があるとの考えを示した。
26年3月期の想定為替レートは1ドル145円、1ユーロは157円とした。
25年4─6月期の連結営業損益は、13億円の関税影響などもあり、11億9100万円の赤字となった。前年同期の29億5000万円の黒字から赤字に転落した。
同日報じられた半導体への100%追加関税について、戸口学・専務執行役員は、詳細を把握しておらず、情報収集を進めて状況を見極めたいと述べるにとどめた。