村田製、4―6月期連結営業利益は7.2%減 円高や製品価格値下がりで

7月30日、村田製作所は、4―6月期の連結営業利益(国際会計基準)が前年同期比7.2%減の616億円だったと発表した。写真は2017年10月、千葉・幕張メッセで撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)
Ritsuko Shimizu
[東京 30日 ロイター] - 村田製作所は30日、4―6月期の連結営業利益(国際会計基準)が前年同期比7.2%減の616億円だったと発表した。AI(人工知能)サーバー関連の部品需要は堅調だったが、スマートフォン向けで高周波モジュールや樹脂多層基板の需要が減少した。
利益面では、操業度の回復やコストダウンといった増益要因に対し、製品価格の値下がりや円高進行が減益要因となった。4―6月期は1ドル=144.60円で前年同期の155.89円から大幅に円高となった。円高の影響を除くと12%増益となる。7―9月期以降の為替予想は1ドル=140円を据え置いている。
AIサーバー向けの需要が堅調で、4―6月期の受注高は4311億円で前年同期比、前期比ともに増加した。
電池事業は4―6月期で20億円の黒字となった。パワーツールとデータセンター向けバッテリーバックアップユニット用の電池に注力することで、固定費を下げ、25年度としても黒字化することを目標として掲げている。同社は6月、マイクロ一次電池事業をマクセルに売却すると発表している。
2026年3月期の連結営業利益は前年比21.3%減の2200億円の見通しを据え置いた。当初見ていたスマートフォンや自動車、サーバーの台数見込みに大きな変化はないという。IBESがまとめたアナリスト17人の予想平均値2661億円を下回った。米関税の影響による消費動向の変化もあり、部品需要は上期偏重になるとみている。
同社が米関税の直接的な影響を受けるのは売上高の5%程度で、会見した中島規巨社長によると「非常に限定的」。主力製品である積層セラミックコンデンサ(MLCC)などは影響を受けていない一方で、インフラ向けのパワーモジュールは、前年度下期に前倒しの需要があったこともあり、足元で少し影響を受けている。影響額は「一桁億円と推定している」という。
米関税に関しては、中島社長は「米国内でのインフレ懸念は払拭できていない。エレクトロニクス機器を中心に需要自体が少し弱めになってしまうことは大きく懸念している。注視している状況」と述べた。