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国内証券が株価予想引き上げ、年末の日経4万5000円も 関税合意など背景

2025年07月25日(金)16時41分

 7月25日、日米の関税交渉合意を受けて世界景気に対する不透明感が後退し、国内証券会社の間で株価予想を引き上げる動きが出てきた。2008年11月撮影(2025年 ロイター)

[東京 25日 ロイター] - 日米の関税交渉合意を受けて世界景気に対する不透明感が後退し、国内証券会社の間で株価予想を引き上げる動きが出てきた。日経平均は2025年度末4万5000円との予想もある。当初の想定に比べて日本への関税率が減免されることが背景にあるようだ。

<日経平均、上値追い継続か>

大和証券は25日付のリポートで日経平均の予想株価を、25年末4万4000円、2025年度末4万5000円へと引き上げた。従来予想は25年末、25年度末とも4万2000円だった。

同社では、主要な上場企業200社(除くソフトバンクグループ)の経常利益を、25年度は1.6%減益(5月27日時点)と5期ぶりの減益を予想していたが「一転して増益見通しに転じる可能性も出てきた」と指摘している。7―9月期に日経平均は過去最高値(4万2224円、終値ベース)を更新し「さらに上値をうかがう展開を見込む」という。

主要国間での関税合意の進展は、米国の過度なインフレ警戒を後退させる効果があるだろうと指摘したほか、米経済に関しては、秋以降の利下げ再開に向けて「視界は良好」だとし、減税法案も成立していることを背景に、景気の軟着陸見通しは強まっているという。

米S&P500は25年末6800ポイント(従来予想は6400ポイント)、25年度末6900ポイント(同6500ポイント)の予想としている。

一方、関税交渉の不確実性が低下したため、日銀による追加利上げ時期は今年の10―12月期の実施に前倒しを見込み「一時的に株式市場で上値が重くなるタイミングもありそうだ」という。従来は26年1─3月期とみていた。

国内政治の不透明感はリスク要因になり得るとして、秋以降、与野党協議が進展するか注目される。協議内容次第では、国内金利が上昇し、株式市場で嫌気される可能性にも注意が必要だという。

一方、野村証券は24日付のリポートで、25年末の日経平均予想を4万2000円(従来予想は3万9500円)、25年度末を4万2750円(同4万0000円)に引き上げるとした。

EPS(1株当たり純利益)見通し引き上げを主因としており、25年末のTOPIXは3000ポイント(従来予想2850ポイント)、25年度末3050ポイント(同2900ポイント)を見込むとした。

目先は、企業決算で「現実に立ち返る」と同時に、政局をにらんだ財政刺激期待での一喜一憂が混在する局面に入り、株価の上昇は一服すると想定。ただ、「24年7月前半の株高が短命に終わった際に比べると、現行水準で滞留しやすいだろう」との見方を示している。

景気・業績正常化期待、企業の旺盛な自社株買いに加えて、日本のマクロ経済政策がインフレに傾斜しやすい点が支えになるという。

ロイター
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