日銀、25年度の物価見通し引き上げを検討 食品上振れで=関係筋

日銀は30―31日に開く金融政策決定会合で、2025年度の物価見通しの引き上げを議論する見通しだ。資料写真、日銀本店、1月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Takahiko Wada
[東京 14日 ロイター] - 日銀は30―31日に開く金融政策決定会合で、2025年度の物価見通しの引き上げを議論する見通しだ。前回の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表した5月以降、コメや食料品の価格が主導する形で消費者物価指数(CPI)の高い伸びが続いていることなどを反映する。一方、米国との政府間交渉が決着しない関税が経済や物価にもたらす影響は依然不透明で、会合直前まで情勢を見極める。複数の関係者が明らかにした。
日銀は今回の会合で最新の展望リポートを議論する。前回の展望リポートで示した見通しでは、25年度の生鮮食品を除くCPI(コアCPI)が前年度プラス2.2%、生鮮食品とエネルギーを除くCPI(コアコアCPI)がプラス2.3%だった。その後公表された物価指標については、コメや食料品中心に小幅に想定を上回っているとの声が日銀では多い。
前回の展望リポートでは米国の関税政策を踏まえて経済・物価見通しを引き下げた。26年度のコアコアCPIをプラス1.8%とし、2%の達成時期を従来予想から後ずれさせた。これはトランプ関税によって企業収益が下振れ、来年度の春闘での賃上げ率に影響が及ぶとの見方を主に反映したものだが、関税の影響が見通しにくい中、日銀は今回、この数値は大きく変更しない可能性がある。
トランプ米大統領は7日、日本に対する相互関税の税率を8月1日から25%へ引き上げると発表した。日銀では、交渉期限が7月9日から8月1日に3週間延長されただけで、最終的な着地点はまだわからないとの声が多い。ただ、25%で決まった場合には、「各国間の交渉がある程度進展する」とした5月展望リポートの前提を上回る関税率となるため、経済・物価見通しには下方圧力が掛かる可能性がある。