ニュース速報
ビジネス

NY市場サマリー(8日)S&P小幅続落 円下落 利回り上昇

2025年07月09日(水)06時28分

<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、円が下落した。トランプ米大統領が7日、日本と韓国からの輸入品に対し、8月1日から25%の関税を課すと表明したことが引き続き材料視された。一方、オーストラリアドルは上昇。オーストラリア準備銀行(中央銀行)が予想外に政策金利の据え置きを決めたことを受けた。

ドル/円は0.38%高の146.625円となった。

コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「市場参加者の大多数は、米政権が問題を先送りし続けると予想している。不確実性の高まりが短期的には企業投資に大きな打撃を与えることは間違いない。トランプ大統領は実効関税率を段階的に引き上げるとみられるが、米国経済に壊滅的な供給ショックを与えることは避けるだろう」と指摘した。

ユーロ/円は1年ぶりの高値を付けた。終盤では0.58%高の171.980円。

ユーロ/ドルも上昇し、 0.17%高の1.1729ドルとなった。

豪ドルは1%以上上昇した。終盤は0.6%高の1豪ドル=0.653米ドルだった。

市場は利下げを予想していたが、中銀は理事会の過半数がインフレ鈍化を裏付けるさらなる情報を待つことを支持したと述べた。

ニュージーランドドルは0.03%安の0.6米ドル、ポンドは0.04%安の1.3597ドルとなった。 

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 利回りが上昇した。市場はトランプ大統領が発表した貿易相手国に対する新たな課税措置の行方や、財務省が今週実施する10年債と30年債の入札に注目している。

トランプ大統領は8日、輸入する銅に対し50%の関税を課す計画を同日中に発表すると表明したほか、輸入する半導体や医薬品などに対する関税を近く発表する予定とした上で、医薬品に対する関税率は200%に達する可能性があると明らかにした。トランプ大統領は前日7日に、貿易相手国に新たな課税措置を通知し始めた。日本と韓国からの輸入品に対しては、8月1日から25%の関税を課すとした。

投資家は関税引き上げによるインフレ高進が、経済成長を鈍化させると懸念している。

また米議会は先週、トランプ大統領肝いりの大規模減税・歳出法案、いわゆる「1つの大きく美しい法案」を可決。同法案により向こう10年間で財政赤字が2兆8000億ドル上積みされるという試算が出ている。

クレジットサイツの投資適格債・マクロ戦略責任者を務めるザカリー・グリフィス氏は「『1つの大きく美しい法案』が何を意味するのか、また関税措置がこれまで見たことのないインフレを引き起こすのかどうかについて、多くの懸念がある」と指摘。その上で、来週15日に予定される消費者物価指数(CPI)の発表が注目されるとした。

また、財務省がこの日実施した580億ドルの3年債入札は需要が低調だった。最高落札利回りは3.891%で、入札前取引の水準を約0.5ベーシスポイント(bp)上回った。需要の指標となる応札倍率は2.51倍で、平均を下回った。

財務省は9日に390億ドルの10年債、10日に220億ドルの30年債を発行する。

ベセント財務長官が先週、足元の金利では国債の入札規模を拡大する予定はないとした発言が、長期ゾーンの国債への需要を支える可能性がある。

指標となる10年国債利回りは2.2ベーシスポイント(bp)上昇の4.417%。一時、6月20日以来の高水準となる4.435%に達した。

30年債利回りは1.7bp上昇の4.947%。

2年債利回りは0.5bp上昇の3.909%。一時、3.92%と6月23日以来の高水準を付けた。

2年債と10年債の利回り格差は約2bp拡大し、51bpとなった。日本国債やドイツ債を含む世界的な債券売りが、この日の米債利回りの上昇を後押ししたほか、先週3日に発表された予想を上回る雇用統計を受け連邦準備理事会(FRB)の年内の利下げ回数予想が引き下げられたことも、今週の利回り上昇につながった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 米国株式市場は不安定な取引の中、S&P総合500種が小幅安で取引を終えた。トランプ大統領の新たな関税の脅しにより、一部の貿易相手国との協議への期待が弱まり、米貿易政策を巡る不透明感が重しとなった。

前日の米株市場は、トランプ氏が日本や韓国などに対する高関税を発表したことを受けて急反落した。

この日の主要株価指数の値動きは前日ほど顕著ではなかったが、S&Pとハイテク株中心のナスダック総合は投資家が関税の見出しから方向性を探る中、マイナス圏とプラス圏を行き来する展開となった。

トランプ氏は8日、輸入する銅に対し50%の関税を課す計画を同日中に発表すると表明した。

輸入する半導体や医薬品などに対する関税も近く発表するとした。

BMOプライベート・ウェルスのチーフマーケットストラテジスト、キャロル・シュライフ氏は「「市場が史上最高値まであと一歩のところで踏みとどまっていることは、投資家がニュースの見出しに関して疑わしい点を有利に解釈しようとしていることを示している」と語った。 

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、 米長期金利の上昇などを背景に、3営業日続落した。中心限月8月物の清算値(終値に相 当)は前日比25.90ドル(0.77%)安の1オンス=3316.90ドル。

トランプ米大統領は7日、日本や韓国を含む14カ国に対する書簡で、新たな関税率を通知した。対象国には、重要な貿易相手である中国や欧州連合(EU)、インドは含まれ ておらず、米中と米印の交渉はそれぞれ継続中で、米EU交渉は合意に近づいているという。書簡の送付は今後も続き、関税発動予定日の8月1日まで交渉は続行されることになる。

一方、石破茂首相は8日、トランプ氏が日本からの輸入品に8月から25%の相互関 税を課すと表明したことを受け、一連の関税措置見直しに向けた協議の継続を関係閣僚に指示。韓国も、向こう数週間で通商協議を強化するとの意向を示した。米国と貿易相手国 の交渉の先行きに楽観的な見方を示す向きもあり、安全資産としての金需要が後退。金は 売りが優勢となった。米長期金利の上昇も金利を生まない資産である金の相場を下押した。

米連邦準備制度理事会(FRB)が9日午後公表する連邦公開市場委員会(FOMC) 議事要旨(6月17、18日開催分)から今後の金融政策の方向性を見極めたいとの思惑も広がった。

ベセント米財務長官は8日、ホワイトハウスで行われた閣議で、関税による収入が年末 までに3000億ドル(約44兆円)以上に達する可能性があるとの見通しを表明。一方、 トランプ氏は、電気自動車(EV)や軍用装備品などにとって重要な金属として、国内生 産を拡大する取り組みで、米国に輸入される銅に50%の関税を課す計画を同日中に発表 すると明らかにした。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、 需給引き締まり期待が高まる中で買われ、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月8 月物は前日清算値(終値に相当)比0.40ドル(0.59%)高の1バレル=68.3 3ドルだった。9月物は0.49ドル高の66.98ドル。

米エネルギー情報局(EIA)は8日公表の短期エネルギー見通しで2025年の米石 油生産量を前月見通しから下方修正した。9日に発表されるEIAによる週間在庫統計で は、原油やガソリン在庫の取り崩しも予想されている。これを受けて需給引き締まり期待 が強まり、原油が買われた。

イエメンの親イラン武装勢力フーシ派は6日に紅海で船舶を 攻撃したと伝わった。その後イスラエル軍が7日にフーシ派が支配する複数の港を空爆したと発表。中東情勢の悪化に伴う供給混乱が再び意識され、原油を支えたとの見方もあった。

ただ、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OP ECプラス」の有志8カ国は5日、オンライン会合で8月の生産量を前月から日量54万 8000バレル増やすことを決定。また、ロイターは7日、関係者の話としてOPECプラスが9月も大幅な増産を承認する方針だと報じた。供給過剰への警戒感は根強く、 原油の上値は重かった。

トランプ米大統領は7日、日本を含む14カ国に対する書簡で新たな関税率を通知した。米関税政策を巡る不透明感や、関税によるインフレ高進への警戒感も原油の下押し圧力となった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 146.55/146.59

始値 146.40

高値 146.97

安値 146.36

ユーロ/ドル NY終値 1.1724/1.1727

始値 1.1727

高値 1.1738

安値 1.1683

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 97*07.00 4.9285%

前営業日終値 97*06.50 4.9300%

10年債(指標銘柄) 17時03分 98*24.50 4.4052%

前営業日終値 98*27.00 4.3950%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.25 3.9778%

前営業日終値 99*19.00 3.9660%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.13 3.8968%

前営業日終値 99*22.75 3.9030%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 44240.76 -165.60 -0.37

前営業日終値 44406.36

ナスダック総合 20418.46 +5.95 +0.03

前営業日終値 20412.52

S&P総合500種 6225.52 -4.46 -0.07

前営業日終値 6229.98

COMEX金 8月限 3316.9 ‐25.9

前営業日終値 3342.8

COMEX銀 9月限 3674.9 ‐15.5

前営業日終値 3690.4

北海ブレント 9月限 70.15 +0.57

前営業日終値 69.58

米WTI先物 8月限 68.33 +0.40

前営業日終値 67.93

CRB商品指数 302.2917 +3.0080

前営業日終値 299.2837

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場・午前=ドル/円15週ぶり高値、一時1

ビジネス

米Wファーゴ、4─6月期増益 通期の金利収入予想は

ワールド

イスラエル軍がレバノン空爆、ヒズボラ戦闘員含む12

ワールド

米、インドネシアと貿易協定締結 トランプ氏が自身の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 8
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中