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NY市場サマリー(7日)関税懸念で株大幅安 円下落 10年債利回り上昇

2025年07月08日(火)06時29分

<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、米ドルが他の主要通貨に対して大幅に上昇した。トランプ米大統領が、日本と韓国を含む複数の国に対する新たな関税を8月1日から発動すると表明したことを受けた。

トランプ大統領は自身のソーシャルメディアに、日韓両国に宛てた関税に関する書簡を公開した。マレーシア、カザフスタン、ミャンマー、南アフリカ、ラオスの各国首脳にも書簡を送った。

ドルは特に対円での上昇が顕著で、前日比1.09%高の146.130円となった。

スイスフラン に対しても0.38%高の0.798フランとなった。

ジェフリーズのグローバルFX部門責任者ブラッド・ベクテル氏は「一部の通貨には国別の要因ですでに弱含みの傾向があったが、トランプ大統領の関税発表はこれまでとは異なり、ドル以外の通貨に強く影響を与えているのは明らかだ」と述べた。

ユーロ は0.57%下落し、1.172ドルとなった。今年に入り13%以上上昇していたが、足元では値を下げている。

投資家の間では、欧州連合(EU)と米国の交渉が複数回行われているにもかかわらず進展が遅く、期限内に合意できるか懸念が広がっている。

ドル指数は0.517%上昇し97.467と、1週間ぶりの高値を記録した。

英ポンド は0.26%下落し1.362ドル。それでも、2021年10月以来の高水準付近を維持している。

リスク選好と連動しやすいオーストラリアドル とニュージーランドドルは、それぞれ0.79%、0.74%下落。両国では今後2日間に金融政策決定会合が控えている。 

<債券> 米金融・債券市場では、 トランプ米大統領が多くの貿易相手国に対する新たな関税率を発表したことを受け、長期債を中心に利回りが上昇した。

トランプ大統領はこの日、日本と韓国からの輸入品に対し、8月1日から25%の関税を課すと表明。マレーシアとカザフスタンに25%、南アフリカに30%、ラオスとミャンマーに40%の関税をそれぞれ課すと明らかにした。

市場では、関税措置で物価が押し上げられ、経済成長が鈍化するとの懸念が出ているが、最終的な政策を巡る不確実性が企業の意思決定を先送りにつながり、実際の関税措置よりも大きな足かせになる可能性があるとの見方も出ている。

FHNファイナンシャル(シカゴ)のマクロストラテジスト、ウィル・コンパーノール氏は「不確実性が高いことで、企業の新規採用や投資を巡る決定が阻まれる」とし、「不確実性が高い時期が長期化すれば、実質的な景気弱体化につながる可能性が高まる」と述べた。

先週発表された6月の雇用統計で雇用者数の伸びが予想を上回ったことを受け、市場が見込む米連邦準備理事会(FRB)の年内の利下げ予想が縮小。金利先物市場が見込む年末までの利下げ幅は現在は0.50%ポイントと、雇用統計発表前の0.66%ポイントから縮小した。

終盤の取引で10年債利回りは5.7ベーシスポイント(bp)上昇の4.397%。2年債利回りは1.9bp上昇の3.901%。2年債と10年債の利回り格差は50bpと、4bpスティープ化した。

財務省は今週、合計1190億ドルの国債入札を予定。8日に3年債(580億ドル)、9日に10年債(390億ドル)、10日に30年債(220億ドル)の入札を実施する。  

<株式> 米国株式市場は急反落して取引を終えた。トランプ米大統領が日本や韓国などに対する高関税を発表したことを嫌気した。電気自動車大手テスラはイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が新党結成を発表したことを受けて急落した。    トランプ大統領は7日、日本と韓国からの輸入品に対し、8月1日から25%の関税を課すと表明。その後、マレーシアとカザフスタンに25%、南アフリカに30%、ラオスとミャンマーに40%の関税をそれぞれ課すと発表した。    S&P総合500種とナスダック総合は先週、過去最高値を3回更新していた。    マニュライフ・ジョン・ハンコック・インベストメンツの共同チーフ投資ストラテジスト、エミリー・ローランド氏は「市場は関税リスクのピークが過ぎたとみていたが、関税が再び前面に出てきたことで不安が広がっている」とし、「市場は熱狂状態になりつつあったが、そこから一歩下がった」と指摘。

ただ、今回の発表が恒久的ではないとの期待も幾分あるとし、「これまでは懲罰的な関税を発表し、その後やや緩和するというパターンだった。交渉の次の段階もそうなる可能性がある」と語った。

<金先物> 連休明け7日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先 物相場は、地政学リスクの後退を背景に早朝に売り込まれたあと、徐々に買い戻される展 開となり、小幅続落となった。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前営業日(3日) 比0.10ドル(0%)安の1オンス=3342.80ドル。

トランプ米大統領は6日、イスラエルとイスラム組織ハマスが今週、停戦で合意する可 能性があるとの見通しを示した。これを受けて地政学リスクが後退し、安全資産とされる 金の売りが先行。外国為替市場ではドル高・ユーロ安地合いが続いたこともドル建てで取 引される金の割高感につながり、相場は早朝に一時3300ドル割れ目前に迫った。ただ 売り一巡後は、安値拾いや持ち高調整の買い戻しが活発になり、朝方の下げ幅をほぼ帳消 しにした。

米関税政策の先行きを巡る不透明から見直し買いも入ったもよう。トランプ米大統領は 7日、日本からの輸入品に25%の関税を課すと表明した。自動車関税など分野別に設定 している関税とは別に課す。SNSで公表された書簡によると、関税は8月1日に発動す る。トランプ氏は同日、相互関税上乗せ分の猶予期間を今月9日から8月1日に延長する 大統領令に署名するという。

主要中銀による金購入拡大の報も支援要因となった。ロイター通信によると、中国人民 銀行(中央銀行)が7日発表した6月末時点の金準備が7390万トロイオンスと、8カ 月連続で増加した。 

<米原油先物> 連休明け7日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、エネルギー需要拡大への期待を背景に、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前営業日(3日)比0.93ドル(1.39%)高の1バレル=67.93ドルだった。9月物は0.87ドル高の66.49ドル。

米独立記念日(7月4日)に伴う連休前に旅行業界団体が公表した試算では、連休中に陸路と空路で旅行する米国人の数が、過去最高になると見込んでいた。夏場の旅行シーズンに伴い燃料需要が上向くとの楽観的な見方が台頭する中、連休明けとなるこの日の相場は買いが優勢となった。

一方、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の有志8カ国は5日、オンライン会合を開き、8月に日量54万8000バレル増産することを決めた。増産は5カ月連続で、市場が事前に予想していた増産幅を上回った。これを受け、供給過剰懸念を背景とした売りが出やすく、原油の上値は抑えられた。ロイター通信によると、ゴールドマン・サックスのアナリストらは、OPECプラスが8月の会合では、9月からの同55万バレル増産を決定する可能性が高いと予想している。

トランプ米大統領は米東部時間7日正午から、貿易相手国・地域に新たな関税率を通知する書簡の送付を開始。SNSで公表した書簡で、日本と韓国からの輸入品に対して25%の関税を課すことを表明した。新関税率は8月1日に発動する。 ▽ガソリン=反発。中心限月8月物の清算値は3.36セント高の1ガロン=215.22セント。 ▽ヒーティングオイル=反発。8月物の清算値は5.13セント高の1ガロン=242.11セント。 

ドル/円 NY終値 146.02/146.07

始値 145.43

高値 146.24

安値 145.38

ユーロ/ドル NY終値 1.1707/1.1710

始値 1.1727

高値 1.1745

安値 1.1688

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時01分 97*12.50 4.9172%

前営業日終値 98*10.50 4.8560%

10年債(指標銘柄) 17時02分 98*30.00 4.3833%

前営業日終値 99*09.00 4.3400%

5年債(指標銘柄) 17時01分 99*20.25 3.9568%

前営業日終値 99*23.50 3.9340%

2年債(指標銘柄) 17時00分 99*23.00 3.8987%

前営業日終値 99*24.00 3.8820%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 44406.36 -422.17 -0.94

前営業日終値 44828.53

ナスダック総合 20412.52 -188.59 -0.92

前営業日終値 20601.10

S&P総合500種 6229.98 -49.37 -0.79

前営業日終値 6279.35

COMEX金 8月限 3342.8 ‐0.1

前営業日終値 3342.9

COMEX銀 9月限 3690.4 ‐18.0

前営業日終値 3708.4

北海ブレント 9月限 69.58 +1.28

前営業日終値 68.30

米WTI先物 8月限 67.93 +0.93

前営業日終値 67.00

CRB商品指数 299.2837 ‐0.6431

前営業日終値 299.9268

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