米ブラックロック、短期投資に重点 長期見通しに不透明感

世界最大の資産運用会社ブラックロックの調査部門ブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)は1日、2025年半ばのグローバル投資見通しリポートで、世界経済の見通しに不透明感が増し、長期的な経済動向の不確実性が高まる中、6─12カ月間といった短期投資の戦略に重点を置くことを明らかにした。2022年10月撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
[ニューヨーク 1日 ロイター] - 世界最大の資産運用会社ブラックロックの調査部門ブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)は1日、2025年半ばのグローバル投資見通しリポートで、世界経済の見通しに不透明感が増し、長期的な経済動向の不確実性が高まる中、6─12カ月間といった短期投資の戦略に重点を置くことを明らかにした。
市場はここ数十年間にわたり、物価の安定や財政規律、中央銀行の独立性、ドルや国債など米資産を安全資産に位置付けることを原則としてきた。だが、トランプ米政権の関税措置や、連邦準備理事会(FRB)の政治的独立性への懸念、米資産への見直し機運が高まり、こうした基盤に対する投資家の信頼が揺らいでいる。
BIIは、今後6─12カ月にわたるユーロ圏の国債に関しては、より楽観的な見方になっている。欧州株よりも米国株が引き続き選好されている。欧州では政府支出の増加が航空宇宙、防衛、金融を下支える可能性がある。しかし、米国株が人工知能(AI)ブームを追い風にアウトパフォームするとみている。
このほか、関税措置と米への移民の減速が物価の上昇圧力をもたらすとし、FRBの利下げ余地を制限するとの見通しを示した。
米長期債への弱気姿勢は維持。米ドルが今年主要通貨に対して約10%下落したことを踏まえ、新興国現地通貨建ての債券は「アンダーウエート」から「ニュートラル」に引き上げた。