ボウマンFRB副議長、7月利下げに前向き インフレ圧力抑制なら

6月23日、米連邦準備理事会(FRB)のボウマン副議長(金融監督担当、写真)は、労働市場へのリスクが高まっている可能性があるとして、利下げの時期が近づいているとの認識を示した。4月10日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Kevin Mohatt)
[ニューヨーク 23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のボウマン副議長(金融監督担当)は23日、労働市場へのリスクが高まっている可能性があるとして、利下げの時期が近づいているとの認識を示した。
チェコ・プラハで行った講演で「政策金利の調整を検討すべき時期が来ている」と述べた。ボウマン氏はここ数カ月、金融緩和の必要性に懐疑的な見方を示していたため、今回の姿勢転換は予想外となった。
同氏は講演で、インフレ率は2%に向けて持続的な回帰の軌道にあるように見えるとし、政権の関税政策によるインフレへの影響は「最小限にとどまる」と予想。「インフレ圧力が抑制されたままであれば、政策金利を中立水準に近づけ、健全な労働市場を維持するため、早ければ次回会合で利下げを支持する」と述べた。
労働市場は引き続き健全としながらも、リスクの高まりについて懸念を強めているとし、見通しを検討する上でそうした懸念をより重視する必要があるかもしれないと指摘。
「最近の低調な支出や、労働市場の脆弱性を示す兆候を踏まえると、雇用に関するわれわれの責務に対する下振れリスクが近くより顕著となる可能性を認識すべきだ」と述べた。
ボウマン氏の発言を受け、23日の米国株式市場は上昇した。金利先物市場では7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想がやや上昇したものの、依然として低水準にとどまった。先物市場では利下げ開始は9月になるとの見方がなお優勢だ。
シカゴ地区連銀のグールズビー総裁も23日、関税措置はインフレ率上昇と成長率低下という形で経済に大きなリスクをもたらし、金融政策で対処するのは非常に難しいとしつつ、これまでのところ影響は予想より軽微にとどまっていると指摘。4月初めに大規模な関税措置が発表された際に懸念されたような状況にはなっていないとの認識を示した。
その上で「関税引き上げがインフレにつながらなければ、われわれは『黄金の道』から外れなかったことになる」と語り、経済が足元の混乱と不確実性の局面を乗り越えることができれば、利下げへの道が再び開かれる可能性があるとした。
関税は空中に「ほこり」をまき散らすようなものだとし、そうした不確実性が解消されれば利下げを進めるべきだと述べた。
ボウマン氏は演説で、17─18日のFOMCでの金利据え置き決定を支持すると述べた。ただ同時に、経済の見通しはより明確になりつつあり、今後の暗雲ははるかに少なくなっているとの見方も示した。
ウォラーFRB理事も20日、足元のインフレ指標が落ち着いていることや輸入関税による価格ショックは短期間で終わるとの見方を踏まえ、FRBは次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを検討すべきとの見解を示していた。
ボウマン氏はインフレ見通しについても楽観的な見方を示し、「関税引き上げによるモノの価格の上昇圧力は他の要因によって相殺され、コア(個人消費支出)インフレの基調的なトレンドは現在データに表れているよりも2%目標にかなり近づいているようだ」と述べた。
また、トランプ大統領の一連の政策が見通しにプラスの影響を与える可能性が高いと指摘。 「規制緩和、法人税引き下げ、親ビジネスの環境は供給を押し上げ、経済活動や物価へのマイナス影響をおおむね相殺するだろう」と述べた。