英中銀の資金供給手段、銀行は積極的に活用を=理事

6月11日、イングランド銀行(英中央銀行)でプルーデンス政策を担当するサポルタ理事は、英中銀による国債売却や市中銀行の融資返済で市場の流動性が低下する中、英国で事業を展開する銀行に対し、中銀の資金供給手段をより積極的に活用するよう呼びかけた。写真は2023年1月、ロンドンの英中銀前で撮影(2025年 ロイター/Henry Nicholls)
David Milliken
[ロンドン/ヘルシンキ 11日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)でプルーデンス政策を担当するサポルタ理事は11日、英中銀による国債売却や市中銀行の融資返済で市場の流動性が低下する中、英国で事業を展開する銀行に対し、中銀の資金供給手段をより積極的に活用するよう呼びかけた。英中銀はこの日、長期の流動性供給手段であるインデックス長期レポ(ILTR)を来週から拡充すると発表した。
英中銀はかねて、流動性供給手段の活用拡大を呼びかけていたが、この10年、量的緩和措置などで市場流動性が潤沢な状態が続き、銀行側の対応は鈍かった。
サポルタ氏はフィンランド中銀での講演で、中銀の保有債券売却ペース、その他の要因にもよるが、金融システム全体の準備金が早ければ来年第2・四半期にも「望ましい最低限の範囲」に達する可能性があるとの見通しを示した。
「金融機関は変化する流動性環境と、その中で準備金をどのように調達していくかについて、十分に検討する必要がある」と指摘し「それは英中銀から日常的に多額の資金を借り入れ、市場へのアクセスを検討し、業務を定期的に試験運用し、事前に用意する担保の規模について積極的に考慮することを意味する」と説明した。
ILTRは、担保と引き換えに中銀が期間6カ月の流動性を供給する制度。これまでのところ、銀行による利用は1週間物レポに比べてはるかに少ない。
中銀はILTRの週間利用可能額を250億ポンドから350億ポンドに引き上げる。これにより英国の金融システムに供給可能な流動性の総額は8400億ポンドに拡大する。
銀行が最も低い金利で借り入れ可能な準備金の週間利用額は、50億ポンドから80億ポンドに引き上げられる。また、銀行の借入額が増加しても、借り入れコストの上昇はより緩やかになるよう設定される。