国内企業物価5月は前年比3.2%上昇、6カ月ぶり前年比4%割れ

日銀が11日発表した5月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比3.2%上昇した。写真は、日銀本店。2023年9月、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Tetsushi Kajimoto
[東京 11日 ロイター] - 日銀が11日発表した5月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比3.2%上昇した。伸び率は昨年9月以来の低さで、6カ月ぶりに4%台を割り込んだ。石油・石炭製品が伸び率鈍化の主因だった。
前月比では0.2%低下し、昨年8月以来初めてマイナスとなった。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比3.5%上昇、前月比0.2%低下だった。
石油・石炭製品や化学製品が前月比でマイナス寄与となった。半面、電気・ガス料金の支援策終了を受け、電力・都市ガス・水道は押し上げに寄与した。
CGPIを構成する品目515品目のうち、前年比で上昇したのは364品目、下落は130品目で差し引き234品目だった。4月は254品目。価格の高騰が続く飲食料品は前年比4.2%上昇、農林水産物は42.8%上昇した。
一方、SMBC日興証券シニアエコノミストの宮前耕也氏によると、トランプ米政権の関税措置を受けた原油や銅など国際商品市況の急落や円高進行が全体の価格鈍化につながった。石油・石炭・天然ガスの輸入物価指数は円ベースで20.3%の大幅低下となった。
企業物価指数は、企業間の財・モノの価格動向を示す指標。企業向けサービス価格指数とともに、企業間で適切な人件費配分や価格転嫁ができているかのバロメーターとして、賃金・物価の好循環の実現を目指す日銀が注視する指数の一つ。
日銀の担当者は先行きについて「不確実性が高まっている」とし、世界経済の減速リスクや関税、コスト動向が今後需要に与える影響に注目していると述べた。また、トランプ米政権の関税措置による直接的な影響は表れていないとした。
*日銀の発表資料は以下のURLでご覧になれます。