スイスGDP、第1四半期は前期比+0.8% 米関税控え輸出前倒し

スイス経済省経済事務局(SECO)が2日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)はスポーツイベント調整後で前期比0.8%増だった。写真は、スイスのチューリッヒで、アルプスを背景にミュンスター橋を渡る人々。4月30日、チューリッヒで撮影(2025年 ロイター/Stefan Wermuth)
[チューリヒ 2日 ロイター] - スイス経済省経済事務局(SECO)が2日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)はスポーツイベント調整後で前期比0.8%増で2年ぶりの高い伸びとなった。米政府の関税発動を控えて医薬品、化学製品、時計、精密機器の輸出が伸びた。
昨年第4・四半期(改定値)の0.6%増から加速。速報値の0.7%増、長期平均の0.4%増を上回った。
SECOは「特に対米輸出が急増した。米国の通商政策に関連して輸出が前倒しされた可能性がある」と述べた。
スイス税関のデータによると、第1・四半期のスイスの輸出は前期比3.6%増。対米輸出は17.4%増だった。
トランプ政権は4月、スイスからの輸入品に31%の関税を課したが、その後、関税率は一時的に10%に引き下げられている。
スイスの中小の機械設備会社は先行き不透明感に懸念を示している。
産業団体スイスメカニックは、海外顧客は新規の設備投資にあまり積極的でなく、スイスフランの大幅な上昇がさらなる重荷になっていると指摘。投資決定が先延ばしされ、多くの注文が凍結ないし取り消しになったと述べた。
「事業の不確実性の高さはコロナ禍並みで、向こう数カ月でその影響がGDPや労働市場に表れる」と予想した。
2日発表されたスイスの購買担当者景気指数(PMI)は3.7ポイント低下し42.1で、23年5月以来の低水準だった。