午前のドルは143円前半へ一段安、日米財務相会談後の円安すぐ収束

午前のドルは143円台で上値の重い展開となった。2023年3月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
Shinji Kitamura
[東京 22日 ロイター] - 午前のドルは143円台で上値の重い展開となった。日米財務相会談で為替水準に関する協議がなかったとして一時144円半ばまで上昇したが、米財政問題への警戒感などを背景としたドル売り圧力の強さは変わらず、ドルは会談前の水準を割り込んで一段安となった。
日本時間午前7時前、米財務省が発表文書で、今回の会談で「為替水準に関する議論はなかった」ことを明らかにすると、ドルはそれまで推移していた143円半ばから144円半ばへ急速に上昇した。
しかし、直後の買いが一巡すると次第に売りが優勢となり、ドルはじり安基調へに転換。カナダを訪問中の加藤勝信財務相が、ベセント米財務長官と「引き続き2国間の諸問題について緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致した」と従来と変わらない姿勢を示した後、ドルは143円半ばと会談前の水準へ反落した。
その後「会談終了直後にドルを買い上がった向き(が損失確定の売りに動く)のストップロスを巻き込んだ」(FX会社ディーラー)ことで、ドルは143円前半まで下げ幅を拡大。午前11時過ぎには143.15円を付けて、5月7日以来、約2週間ぶり安値を更新した。
会談後に進んだドル高/円安が2時間程度で収束したのは、会談後も円安是正の思惑がくすぶっていることやドルの先安観が根強いことが要因だと、バークレイズ証券為替債券調査部長の門田真一郎氏は話す。
「今回は無事に交渉を終えたが、トランプ米大統領が根本的にドル高を懸念しているとみられることは変わらない。円安が進んでも良いという話でもなく、懸念が全て解消したということではない」という。