ニュース速報
ビジネス

NY市場サマリー(10日)ドル高、株安 利回り急上昇

2025年01月11日(土)07時14分

<為替> ドルが上昇した。LSEGのデータによると、好調な米雇用統計を受け、市場は連邦準備理事会(FRB)が今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを一時停止するという見方を完全に織り込んだ。

2024年12月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は25万6000人増加し、市場予想の16万人増を上回った。失業率は4.1%と、前月の4.2%から低下した。

雇用統計を受け、金融各社は米利下げ見通しを修正。JPモルガンやゴールドマン・サックスは、次回の利下げ時期を6月に後ずれさせたほか、バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチは利上げの可能性も想定した。

ラボバンクのFX戦略担当ジェーン・フォーリー氏は「12月の米雇用統計は好調で、FRBが利下げを急ぐ必要性はなくなった」と指摘。さらに、ラボバンクはFRBの利下げが年内1回にとどまると予想していたが、トランプ次期大統領が早期に関税や不法移民対策などに乗り出せば、「その機会さえ完全に失われる可能性がある」と述べた。

主要通貨に対するドル指数は一時22年11月以来の高値を付けた。終盤の取引では0.4%高の109.68。週足では6週連続の上昇となる勢い。

米ミシガン大学が発表した1月の消費者の1年先の期待インフレ率(速報値)が昨年5月以来の高水準となったことを受け、ドル/円は一時、昨年7月以来の高値を付けた。

ドルはその後下げに転じ、終盤は0.1%安の157.845円近辺で推移した。週足では0.4%上昇する見通し。

ユーロ/ドルは0.5%安の1.0244ドル。一時22年11月以来の安値に沈む場面もあった。週足では2週連続で下落した。

ロイターの調査によると、アナリストらの多くが、25年に1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)に到達すると予想している。

ポンド/ドルも23年11月以来の安値を付けた後、0.8%安の1.2208ドル。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 米10年国債利回りが2023年11月以来の水準に急上昇した。12月の非農業部門雇用者数が25万6000人増加と市場予想の16万人増を上回り、失業率も低下したことを受けた。

スパルタン・キャピタル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、ピーター・カルディロ氏は「雇用統計は債券利回りをさらに押し上げるだろう。労働市場は弱まる兆候を見せていない」と述べた。

市場は現在、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利の引き下げを少なくとも6月まで待つと予想している。雇用統計の発表前は、早ければ5月にも利下げが行われ、年末までに2度目の利下げが行われる可能性は約50%と予想していた。

ウェルズ・ファーゴのマクロストラテジスト、アンジェロ・マノラトス氏は「市場ではFRBが長期の利下げ休止に踏み切る可能性があるとみられている。データが軟化し始めるまで債券は弱気基調が続く可能性がある」と述べた。

指標となる10年国債利回りは4.79%、30年国債利回りは5.005%と、ともに23年11月以来の高水準となった。

金利に敏感な2年債利回りも4.39%に上昇し、24年7月以来の高水準を付けた。

2年債と10年債の利回り格差は約4ベーシスポイント(bp)縮小し、38bpだった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 下落して取引を終えた。12月米雇用統計が好調だったことでインフレ懸念が再燃し、米連邦準備理事会(FRB)が今年の利下げに慎重になるとの見方が強まった。

主要株価指数は2週連続で下落して取引を終えた。

CFRAリサーチの市場ストラテジスト、サム・ストーヴァル氏は、株式市場を取り巻く環境は「かなり厳しいものになる可能性がある」と述べた。

中小型株で構成するラッセル2000指数も2.27%下落した。投資家の不安心理を示す「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数(ボラティリティー・インデックス)は3週間ぶりの高水準を記録した。

米労働省が10日発表した2024年12月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は25万6000人増加し、市場予想の16万人増を上回った。失業率は4.1%と、前月の4.2%から低下した。

市場は現在、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利の引き下げを少なくとも6月まで待つと予想している。

証券各社もFRBの利下げ予想を修正。バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチは利上げの可能性も想定した。

S&P総合500種主要11セクターのうち大半が下落した。

米ミシガン大学が10日に発表した1月の消費者の1年先の期待インフレ率(速報値)は3.3%と、前月の2.8%から上昇し、昨年5月以来の高水準となった。

これも市場の軟調ムードに拍車をかけた。

市場の次の注目は15日に発表される消費者物価指数(CPI)となっている。

個別銘柄では、エヌビディアが約3%安となるなど、半導体株が下落。米国が早ければ10日にも新たな輸出規制を発表する可能性があるとの報道を嫌気した。

電力会社のコンステレーション・エナジーが25.16%高。独立系発電事業者の米カルパインを約164億ドルで買収することで合意した。

米アルコール飲料大手コンステレーション・ブランズは17.09%下落。年間売上高と利益の見通しを引き下げたことが弱材料となった。

好決算を発表したドラッグストア大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは27.55%上昇した。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を4.24対1の比率で上回った。ナスダックでは値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を3.32対1の比率で上回った。

米取引所の合算出来高は162億4000万株。過去20営業日の平均は123億1000万株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 米株安を背景に投資家のリスク回避姿勢が強まる中で買われ、4営業日続伸した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比24.20ドル(0.90%)高の1オ ンス=2715.00ドル。中心限月の清算値ベースで昨年12月中旬以来、1カ月ぶり の高値となった。週間では2.27%高。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 米英両国による対ロシア制裁強化の報を受け、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前日比2.65ドル(3.58%)高の1バレル=76.57ドルと、昨年10月上旬以来約3カ月ぶりの高水準。週間では3.53%上昇した。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 157.69/157.72

始値 157.98

高値 158.87

安値 157.23

ユーロ/ドル NY終値 1.0244/1.0247

始値 1.0301

高値 1.0311

安値 1.0217

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 93*00.50 4.9501%

前営業日終値 93*14.50 4.9200%

10年債(指標銘柄) 17時05分 96*00.00 4.7633%

前営業日終値 96*20.00 4.6810%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*03.25 4.5790%

前営業日終値 99*21.50 4.4490%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.00 4.3834%

前営業日終値 99*31.25 4.2620%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 41938.45 -696.75 -1.63

前営業日終値 42635.20

ナスダック総合 19161.63 -317.25 -1.63

前営業日終値 19478.88

S&P総合500種 5827.04 -91.21 -1.54

前営業日終値 5918.25

COMEX金 2月限 2715.0 +24.2

前営業日終値 2690.8

COMEX銀 3月限 3131.4 +29.9

前営業日終値 3101.5

北海ブレント 3月限 79.76 +2.84

前営業日終値 76.92

米WTI先物 2月限 76.57 +2.65

前営業日終値 73.92

CRB商品指数 305.9666 +5.4729

前営業日終値 300.4937

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB利下げ支持、今後2会合で─蘭中銀総裁=ブルー

ビジネス

英財政赤字、12月は市場予想以上に膨らむ 利払い費

ビジネス

中国CATL株下落、24年は減収・利益鈍化の見込み

ビジネス

大型案件が米政権に歓迎されるのは望ましい=SBGな
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 8
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 9
    欧州だけでも「十分足りる」...トランプがウクライナ…
  • 10
    「敵対国」で高まるトランプ人気...まさかの国で「世…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中