ニュース速報
ビジネス

11月CPIが追加利下げ期待に影響及ぼすか=今週の米株式市場

2024年12月09日(月)10時05分

 9日からの週の米株式市場は、11日に発表される11月消費者物価指数(CPI)が相場の鍵を握りそうだ。写真はウォールストリートの標識。昨年4月撮影(2022年 ロイター/Carlo Allegri)

[6日 ロイター] - 9日からの週の米株式市場は、11日に発表される11月消費者物価指数(CPI)が相場の鍵を握りそうだ。CPIが予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ期待に水が差されれば、高値波乱の展開になりかねない。

足元までの株高を支えているのは、米経済が好調を保ち続けている局面でFRBが追加利下げに動くという観測。歴史的に見てそうした展開は力強い株価上昇をもたらしてくれる。6日発表の11月雇用統計も非農業部門雇用者数が予想より大幅な伸びだったものの、FRBに利下げ路線を見直させるほど労働市場の環境が変わったとはみなされなかった。

このため雇用統計発表後の金利先物市場では、17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の追加利下げが決まる確率は90%弱に達した。

しかし11月CPIでインフレの強さが示されれば、市場の楽観シナリオが脅かされ、株高の流れが揺らぐ恐れが出てくる。

ロイターがまとめた11月CPIの前年比上昇率の予想は2.7%。

ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同チーフ投資ストラテジスト、マシュー・ミスキン氏は「CPIが強い数字なら株式市場が消化するのは難しくなると思う。FOMC前に多少の不透明感を与えるだろう」と述べた。

ただミスキン氏は、FOMCでは利下げを見送るよりも、来年の利下げ期待を抑制する「タカ派的な利下げ」を実行する可能性があるとの見方も示した。

インフレ再燃の可能性は、トランプ次期大統領が物価押し上げにつながる高い輸入関税を導入する方針という面からも注目度が高まる。

TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、モリー・マクゴウン氏は、FRBがトランプ氏の政策を実際に把握する中で、来年初めに利下げを停止すると予想している。

米株については割高感が強まる中で、楽観ムードが広がり過ぎていると心配する声も聞かれる。LSEGデータストリームによると、現在のS&P総合500種企業の12カ月予想利益に基づく株価収益率(PER)は22.6倍と3年余りぶりの高水準となった。

それでも一部投資家は年末にかけて堅調地合いになると見込んでいる。ネーションワイドの投資調査責任者を務めるマーク・ハケット氏は、今年浮上した弱気材料、例えば労働市場の重圧や金利の急変動、FRBを巡る不透明感などは大きく緩和され、年末までに株価上昇のトレンド反転を想定するのは困難だと強調した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、大型減税法案可決をアピール アイオワ州

ワールド

IMF、スリランカ向け金融支援の4回目審査を承認

ビジネス

ドイツ銀、グローバル投資銀行部門で助言担当幹部の役

ビジネス

ドイツ自動車対米輸出、4・5両月とも減少 トランプ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中