ニュース速報
ビジネス

FRBの現行政策、物価目標達成に「適切」=NY連銀総裁

2024年05月31日(金)04時11分

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁(写真)は30日、米連邦準備理事会(FRB)の現在の金融政策はインフレ率を2%に戻すのに適切との考えを示した。2019年3月撮影(2024年 ロイター/Lucas Jackson)

Michael S. Derby

[ニューヨーク 30日 ロイター] - ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は30日、米連邦準備理事会(FRB)の現在の金融政策はインフレ率を2%に戻すのに適切との考えを示した。ただ、FRBが利下げに着手できるかは分からないと改めて述べた。

ウィリアムズ総裁はニューヨークのエコノミック・クラブで行った講演で「金融政策が(インフレ)目標達成に役立つ形で引き締め的であることが、過去1年間の経済動向で十分に証明されている」とし、「目標達成に向け、これまでに達成された進歩を継続する上で、現在の金融政策のスタンスは良好な位置にあると考えている」と述べた。 

その上で「堅調な労働市場を維持しながらインフレ率を持続的に2%に戻すための政策決定を下せるよう、引き続きデータ全体を注視していく」と語った。

今後の金融政策について、「ある時点」で利下げが実施できる状況になるとしながらも、いつになるかは不明と言及。現在の金融政策設定の下で経済が好調に推移していることを踏まえると「利下げの緊急性は感じていない」と述べた。

FRBはどの程度の利下げを行う可能性があるかとの質問に対しては、利下げの時期が不明なときに、利下げの規模について語ることはできないと述べた。

このほか、FRBは今のところ金利を変更する圧力に直面していないと指摘。政策を調整する前にデータを精査する時間があるとし、データが変化すればFRBの政策見通しも変わると市場は理解していると語った。

ウィリアムズ総裁は講演で物価動向について、インフレ率は依然として高すぎると指摘。年初からの物価動向は期待外れだったと述べた。同時に、経済のバランス改善により下半期にかけて物価圧力は緩和するとの予想を示した。  

米国の3月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比2.7%上昇。ウィリアムズ総裁は同指数の上昇率は今年は2.5%近辺になり、来年は2%に「近づく」との見方を示した。 

雇用情勢については、労働市場はなお逼迫しており、賃金上昇率は2%のインフレ目標に見合うにはなお高すぎると指摘。失業率は現在の3.9%から、年内に4%に上昇するとの見方を示した。

米経済成長率については、2024年は2.0─2.5%になるとした。

FRBは6月11─12日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定するとの予想が大勢となっている。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中