ニュース速報
ビジネス

アングル:中国で債券ファンドに資金流入、利下げ見越し

2023年12月04日(月)11時46分

 12月1日、中国経済を支えるための追加利下げ期待を背景に、債券を保有する投資信託が国内で飛ぶように売れている。上海で2021年撮影(2023年 ロイター/Aly Song)

Samuel Shen Summer Zhen

[上海/香港 1日 ロイター] - 中国経済を支えるための追加利下げ期待を背景に、債券を保有する投資信託が国内で飛ぶように売れている。

ファンド業界のコンサルティング会社、哲奔投資管理諮詢(Zベン・アドバイザーズ)のデータによると、11月には50本以上の債券特化型投資信託が設定され、合計で1050億元(147億1000万ドル)の資金を集めた。単月では今年に入って最大だ。

また、既存の債券商品にも資金が流入しており、投資信託は先月、100以上の債券ファンド商品で購入申し込みを制限せざるを得なかった。

フィデリティ・インターナショナルの中国部門でポートフォリオマネジャーを務めるアルビン・チェン氏は、不動産危機などで苦境にあえぐ中国経済は緩和的な金融政策を必要としており、「金利は低下傾向になる」と指摘。債券を買うには「まだ良いタイミング」という。同部門の債券ファンドは先月に50億元の資金を集めた。

米中金利差拡大に伴う元安への懸念から中国当局は金利を下げ過ぎないよう配慮しているが、アナリストは米金利が今後引き下げられる可能性があるため、来年にはこのような制約がなくなると指摘。スタンダード・チャータード銀行は、中国人民銀行(中央銀行)が2024年前半に政策金利と銀行預金準備率を引き下げると予想している。

<熱狂的な買い>

こうした見通しは債券商品の熱狂的な買いに拍車をかけている。

中国の債券投資信託は今年に入ってから平均2.9%のリターンを上げている。株式ファンドが12%の損失となっているのとは対照的だ。

上海証券のデータによると、債券に特化したヘッジファンドは他の戦略を上回り、投資家に7%のリターンをもたらした。

シュローダーの中国投資信託子会社は、12月初旬に債券特化型商品をローンチすると発表した。

創金合信基金管理(トゥルーバリュー・アセットマネジメント)の債券ファンドマネジャー、張賀章氏はロードショーで、株式が不安定で銀行預金からのリターンが極端に小さくなっている今こそ債券ファンドの買い時だと語った。

中国はもはや不動産とインフラにけん引される高い経済成長に依存しておらず、痛みを伴う経済再編は「金利低下を必要としており、債券価格を押し上げるだろう」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NTT、発行済み株式の1.81%・2000億円を上

ビジネス

中国貿易統計、4月は輸出入ともに予想を大きく上回る

ワールド

米運輸長官、航空管制システム刷新へ支出要求方針 具

ビジネス

旭化成、今期1.5%の営業増益を予想 米関税影響「
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 10
    日本の「治安神話」崩壊...犯罪増加と「生き甲斐」ブ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中