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アングル:トランプ関税、企業に強いるサプライチェーン再構築
6月25日、米オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンから小さな新興ハイテク企業に至るまで、開かれた安定的な貿易が行われてきた時代に確立したサプライチェーンの再構築に大わらわになっている。写真は25日、ホワイトハウスでのトランプ大統領(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)
[シカゴ 25日 ロイター] - 米オートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソン
トランプ米大統領が輸入関税によって世界の貿易態勢を大きく揺さぶる中で、当初様子を見ていた企業が自らの身を守るために動き出した格好だ。
最近になってドイツ自動車大手ダイムラー
これらの動きからは、「米国第一」主義の下で国際貿易のルール書き換えを目指すトランプ氏が引き起こした世界的な「報復合戦」の火の粉を浴びている企業が何とか対処しようと苦戦している様子がうかがえる。
米オフィス家具メーカーのスティールケース
同社は過去4カ月で2回値上げしたものの、今後1─2四半期は利益率が圧迫され続けると警告している。
ボストン・コンサルティング・グループのパートナー、ダスティン・バーク氏は先月ロイターに「製造業はもはや通商政策がより自由な貿易を志向するとは想定できない」と語った。
モルガン・スタンレーのアナリストチームの試算では、米国の輸入関税とそれに対して貿易相手国が既に導入したか導入を検討中の対抗措置は、世界貿易の1%に影響を及ぼす。しかし一部の企業にとって、その1%がカバーするサプライチェーンの割合はもっと大きい。
もっとも米国と、中国その他の貿易相手が繰り広げている争いがどう決着するのか見えていない以上、元手を回収するのに何年もかかるようなサプライチェーンの再構築に踏み切るのをなおためらう企業も多い。
暖房・空調製品メーカーのインガソル・ランド
複雑に入り組み、長年かかって築いたサプライチェーンを他の国や別の工場に切り替えるのも決して簡単なことではない。
企業によっては仕入れ契約を半年から9カ月先まで確定していたり、サプライヤーと数年にわたる約定を結んでいるケースもある。医療機器メーカーなら、サプライヤーの変更は規制当局の許可が必須という場合も少なくない。
例えば米がん治療医療機器のバリアン・メディカル・システムズ
一方、ネット接続の住宅室温調節機器を販売する新興企業ハイバーセンスは今月、中国からのサーモスタット輸入を打ち切ることを決定し、大急ぎでペンシルベニア州にサーモスタット製造施設を建設しようとしている。
同社幹部のボブ・フィールズ氏は「われわれは政治的環境に右往左往させられたくない。(新工場により)自分たちの事業をもっと大幅にコントロールするようになるだろう」と話した。
ただフィールズ氏は、新工場が稼働するまでは、中国からサーモスタットを輸入して25%の追加関税を支払わざるを得ず、顧客がコスト増に伴う値上げを受け入れてくれるのを期待していると付け加えた。
(Rajesh Kumar Singh記者)