ニュース速報

ビジネス

米GDP第4四半期確報値2.2%増、企業利益大きく落ち込む

2015年03月28日(土)03時07分

 3月27日、昨年第4・四半期の米GDP確報値は2.2%増えた。写真はドル紙幣。ソウルで昨年1月撮影(2015年 ロイター/Lee Jae-Won)

[ワシントン 27日 ロイター] - 米商務省が発表した昨年第4・四半期の国内総生産(GDP)確報値は、年率換算で前期比2.2%増となり、改定値と変わらなかった。市場予想の2.4%増は下回った。

企業の在庫と設備投資が振るわなかったが、底堅い個人消費支出が経済活動の減速に歯止めをかけた。ドル高で企業利益は大きく落ち込んだ。

昨年第3・四半期のGDPは5.0%増だった。

第4・四半期の企業の税引き後利益は1.6%減で、4.7%増だった前期と比べ著しい低迷となった。うち海外で上げた利益は8.8%減となり、2007━09年の景気後退期以来の減り方となった。14年の通年も8.3%減で、08年以来の大きな落ち込みとなった。

昨年6月から12月の間に、ドルは米国の主要貿易相手国の通貨に対して7.8%値上がりした。ITテクノロジー大手IBMや半導体メーカーのインテル、複合企業のハネウエル、世界最大の家庭用品メーカーであるプロクター&ギャンブルといった多国籍企業はドル高が今年も利益を圧迫するだろうとしている。

ニューヨークのスタンダード・チャータード銀行でエコノミストを務めるトーマス・コスタ-グ氏は「利益の伸びなくなったことは、投資が今後滞るということを意味する」と話している。

第4・四半期のGDP確報値で、企業在庫は800億ドルと改定値の884億ドルから下方修正された。GDPを0.10ポイント引き下げた。改定値の在庫寄与度は0.12ポイントのプラスだった。

機器の設備投資は0.6%増で、改定値の0.9%増から下方修正された。ドル高と原油安で石油関連企業が油田探索や掘削のための投資を抑制したとみられる。

GDPの3分の2以上を占める個人消費支出は4.4%増加し、改定値の4.2%増から上方修正された。2006年第1・四半期以来の大きな増加率だった。

世界需要が鈍化しているものの、輸出は上方修正された。ただ、底堅い個人消費を反映して輸入も増えたことから貿易赤字が拡大。外需のGDPへの寄与度はマイナスの1.03ポイントとなった。

ニューヨークのFTNフィナンシャルのエコノミスト、ジェイ・モアロック氏は「ドル高とエネルギー価格下落のインパクトを考えると、15年のGDPが期待されているような3%台を記録することは難しいのではないか。2%台半ばの成長がもう1年続くということになるだろう」と話している。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トムソン・ロイター、第1四半期は予想上回る増収 A

ワールド

韓国、在外公館のテロ警戒レベル引き上げ 北朝鮮が攻

ビジネス

香港GDP、第1四半期は+2.7% 金融引き締め長

ビジネス

豪2位の年金基金、発電用石炭投資を縮小へ ネットゼ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中