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7月ロイター企業調査:年内の追加緩和「必要なし」88%、消費増税の影響は中立
[東京 19日 ロイター] - 7月ロイター企業調査によると、日銀の金融政策について、9割近い企業が年内の追加緩和は不要との見解を示した。10月に予定される消費増税については、影響は中立との回答が6割を超える一方、悪影響があるとの回答も3割超となった。週末に行われる参院選については、自民・公明が現有議席を維持することがビジネス上望ましいとする企業が6割に達した。
今回の調査期間は、7月1日━12日。調査票発送企業は504社、回答社数は260社程度だった。
<追加緩和、「必ずしも必要ない」77%>
日銀の金融政策を巡っては、年内の追加緩和は「必ずしも必要ない」が77%、「全く必要ない」は11%となり、9割弱の企業が不要との見解を示した。「必要がある」との回答は12%にとどまった。
追加緩和が必要と回答した企業に追加緩和が必要な理由を尋ねたところ、「消費低迷」が48%と最多で、「海外主要国の金融緩和と円高リスク」が32%、「米中摩擦深刻化のリスク」が10%だった。
<消費増税、実施でも中止でも影響は中立>
10月に予定される消費増税について、実施された場合と中止された場合、それぞれについて企業への影響の有無を聞いた。実施する場合の影響については「中立」が65%、「悪影響の方が大きい」が32%、「好影響の方が大きい」は3%となった。
中立と回答した企業は「短期的に消費に影響はあるが、長期的に消費はある程度回復する」(紙・パルプ)、「日常的な消費に大きな影響は出ない」(化学)と見込んでいる。
増税を中止する場合の影響についても「中立」が69%と最多だった。「好影響の方が大きい」は21%。一方、「悪影響の方が大きい」との回答も10%に達した。
<参院選、与党の現有議席維持が望ましい>
今回の参院選について、ビジネス上望ましい結果を聞いたところ、60%の企業が「自民・公明両党の現有議席維持」と回答。「自公議席増」は17%、「自公議席減」は20%、「自公の過半数割れ」が3%だった。
議席維持が望ましいと回答した企業の理由はさまざまで、「世界的に経済の減速感がある中で、日本経済に混乱を招くのは得策でない」(卸売)と政治の安定を望む声がある一方、「自民党はすべての野党よりまし」(ゴム)、「野党は政権担当能力がない」(サービス)といった意見も複数あった。「あまり議席を増やすと強引な政策をしそう」(非鉄金属)、「政治に安定は必要だが、憲法改正にはまだ議論が必要」(紙・パルプ)などと、野党によるけん制を重視する見解も見受けられる。
<安倍政権の政策、7割が外交を評価 社会保障は評価されず>
安倍政権の政策を巡っては、外交・安保について「高く評価」が17%、「ある程度評価」が52%と、7割弱が評価していることが明らかになった。「難しい中、米中双方と対峙している」(小売)、「日本の存在感が増している」(化学)、「表に出していないが、将来を見据えた外交をしている」(紙・パルプ)などの声が出ている。
「あまり評価できず」との回答は25%、「まったく評価できず」は6%にとどまった。
成長戦略については「ある程度評価」が50%、「高く評価」が4%と過半が評価している。ただ、「あまり評価できず」も38%、「まったく評価できず」が9%と、評価は割れている。
雇用・人材確保も「ある程度評価」が45%、「あまり評価できず」が45%と拮抗した。
社会保障については「あまり評価できない」が55%、「全く評価できない」が13%と、7割弱が評価していない。「年金制度等の展望が見えない」(鉄鋼)、「成果なし」(食品)、「行き当たりばったり」(機械)、「非現実的な経済成長が前提となっている」(卸売)といった批判がある。
「ある程度評価」は29%、「高く評価」は3%にとどまった。
<次期首相候補、安倍・小泉・菅・石破>
安倍晋三首相の次の首相に誰がふさわしいか、との質問に対しては、安倍首相との回答が37%と最多だった。自民党の小泉進次郎・厚生労働部会長が21%、菅義偉官房長官が11%、石破茂・自民党元幹事長が10%、河野太郎外相が6%、岸田文雄・自民党政調会長が5%、枝野幸男・立憲民主党代表が2%だった。
(山川薫)