コラム

プーチンが継ぐ世界「独裁者の系譜」、その始まりはあの「大粛清」男

2022年07月03日(日)13時55分
プーチン

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<ヒトラー、金日成、チャウシェスク、フセインも、この系譜に連なる面々>

【腕時計】
プーチンが側近に怒鳴った。

「私の大切な腕時計が盗まれた! すぐに犯人を捜し出せ!」

翌日、側近が報告した。

「10人の容疑者を捕まえましたが、全員が自白したので10人とも処刑しました」

するとプーチンが言った。

「それはもういいんだ。腕時計は机の引き出しの中にあったから」

◇ ◇ ◇

世界中の注目を集めるロシアのウラジーミル・プーチン大統領。彼の理想とする指導者は、かつてのソ連の最高指導者ヨシフ・スターリンだといわれている。

スターリンは若き頃より共産主義に傾倒。ウラジーミル・レーニン死後、最高権力者になると「大粛清」を敢行し、あまたの民衆を虐殺した。

第2次大戦時には日ソ中立条約を一方的に破棄し、北方領土を不法に占拠。性格としては「パラノイア(偏執病)」がひどく、これが未曽有の粛清の要因になったともいわれる。

そんなスターリンと敵対していたものの、実は彼を高く評価していたのがナチスドイツのアドルフ・ヒトラーだった。

ヒトラーは「スターリンはわれわれの無条件の尊敬に値する」と述べている。そして、スターリン政権の一党独裁体制や宣伝手法、秘密警察の設置といった面を参考にしたとされる。

ヒトラーは不安障害で不眠症、そしてかんしゃく持ちだったという。晩年は左手の震えが止まらなかったとも伝わる。

北朝鮮を建国した金日成(キム・イルソン)は、共産主義の青年学生運動に参加し、中国共産党に入党。抗日パルチザン活動に没頭したが、日中戦争中にスターリン政権下のソ連領内に逃れた。その後、ソ連の極東戦線傘下の部隊に入った。

終戦後、金日成はソ連の後押しにより、北朝鮮を建国。敵対派への粛清を始めたが、これもまさに「スターリン流」だった。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

逮捕475人で大半が韓国籍、米で建設中の現代自工場

ワールド

FRB議長候補、ハセット・ウォーシュ・ウォーラーの

ワールド

アングル:雇用激減するメキシコ国境の町、トランプ関

ビジネス

米国株式市場=小幅安、景気先行き懸念が重し 利下げ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 5
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 6
    ロシア航空戦力の脆弱性が浮き彫りに...ウクライナ軍…
  • 7
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 8
    金価格が過去最高を更新、「異例の急騰」招いた要因…
  • 9
    ハイカーグループに向かってクマ猛ダッシュ、砂塵舞…
  • 10
    今なぜ「腹斜筋」なのか?...ブルース・リーのような…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 7
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 8
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨッ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にす…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story