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コラム

2022年の「おそロシア」

2022年05月02日(月)11時15分
ウサギ

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<これはジョークなのか、現実なのか>

【ウサギの苦悩】
プーチン政権下のロシアから、1羽のウサギがカザフスタンまで逃げてきた。

カザフスタンのウサギが、その理由を聞いた。

ロシアのウサギが言った。

「とにかくひどい話で。最近、新しい法律ができたんです。それが『動物の脚は4本あれば十分。5本目からは切り落とす』というんですよ。脚が4本より多いのは贅沢だという話なんです」

それを聞いたカザフスタンのウサギが不思議に思って聞いた。

「しかし、君の脚は4本じゃないか。問題ないのでは?」

ロシアのウサギがため息をつきながら答えた。

「そうじゃないんですよ。なにせ、全ての脚を切ってから数えるんですから」

◇ ◇ ◇

わが国には昔から「おそロシア」なる言葉遊びがあるが、かの国のデタラメな恐怖政治は、国際ジョーク界における人気カテゴリーの1つ。

ジョーク中のウサギが一種のメタファー(隠喩)として象徴的に用いられていることは言うまでもない。

プーチン政権下では政敵などの不審死がいくつも起きている。

ウラジーミル・プーチン大統領と対立していたロシアの元情報将校アレクサンドル・リトビネンコ氏は2006年、亡命先のイギリスにて突然の中毒死。遺体からは放射性物質ポロニウム210が検出された。

同じくイギリスに亡命していた元ロシア情報将校セルゲイ・スクリパリ氏とその娘は2018年、有毒神経剤ノビチョクを使った襲撃に見舞われた。親子は辛うじて助かったが、ノビチョクというのは冷戦期にソ連で開発された毒物である。

2020年8月、反プーチンを掲げる政治活動家のアレクセイ・ナワリヌイ氏は、モスクワに向かう旅客機に搭乗していた際、突如として意識不明の重体に。こちらもノビチョクを使用されたといわれている。

結局、ナワリヌイ氏は一命を取り留めたが、その後、ロシア当局に拘束された。2022年3月、詐欺罪などで有罪とされ、懲役9年の刑が言い渡された。

プロフィール

早坂 隆

ノンフィクション作家、ジョーク収集家。著書に『世界の日本人ジョーク集』『新・世界の日本人ジョーク集』(共に中公新書ラクレ)、『指揮官の決断――満州とアッツの将軍 樋口季一郎』『永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」』『ペリリュー玉砕――南洋のサムライ・中川州男の戦い』(いずれも文春新書)、『すばらしき国、ニッポン』(文響社)、『昭和史の声』(飛鳥新社)など。最新刊は『世界の日本人ジョーク集 令和編』(中公新書ラクレ)。

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