元CIA諜報員がウクライナ支援を解き明かす、バイデンの「不作為」と「プーチンの操り人形」トランプ

そもそも下院議長のジョンソンは、一貫してウクライナ支援に反対票を投じてきた。
共和党支持者の多くは「アメリカ第一」の孤立主義を唱え、バイデンよりもプーチンを好み、バイデンのウクライナ支援を「アメリカ後回し」政策と呼んでいる。
バイデンとしては、ウクライナを支援しつつもNATO軍とロシア軍の直接対決は避けたい。
だから軍事支援は小出しにし、徐々に増やしてきた。つまり、ウクライナが負けない程度の武器を供与してきた。
ウクライナを「ゆっくりと勝たせ」、その間にロシアに血を流させるが、ロシアが戦争を拡大するほどには痛め付けず、ウクライナに決定的な勝利をもたらすつもりもない。
今回の戦争には何千台もの戦車が投入されているが、アメリカがようやくウクライナに31台の主力戦車M1エイブラムズを引き渡したのは昨年秋のことだった。
熾烈で困難な武器製造合戦
もう1つの死活的に重要な戦域は双方の武器製造工場だ。
もっと大量の武器弾薬を供与されなければ、ウクライナ側が決定的な攻勢に出ることはできず、現状の防衛線を維持するのがやっとだろう。
一方でロシアは武器製造能力の向上に熱心で、その努力はウクライナを支援するNATO陣営をはるかに上回る。
もともとウクライナとは比較にならないほどの弾薬を持っており、今もウクライナ側の5倍に当たる1日1万発の砲弾を撃っている。
ただしロシアも必要な弾薬の確保には苦労している。
現状の生産能力は1日当たり約5500発だが、それでも1日の使用量の半分だ。
ロシアは24年の国防予算を前年比約1.7倍の1000億ドル相当に引き上げ、経済を軍需優先にシフトさせている。
またイランや北朝鮮から何百万発もの砲弾を購入している。
開戦当時に比べれば装備や兵員の質は劣るものの、ロシアは今年も砲撃と攻撃のレベルを維持、あるいは強化することができるだろう。
一方のアメリカとNATOは、既に武器弾薬の在庫を使い尽くした。そしてウクライナでの需要を満たすための生産能力増強に悪戦苦闘している。
アメリカは23年に砲弾の生産量を倍増させ、毎月2万8000発まで可能にした。
いずれは月産9万発に増やす計画だが、その実現には2026年までかかる。
一方でNATO加盟の欧州諸国は現状で月産2万5000発にとどまり、まだ目標の3分の1にしか達していない。
全部合わせても、今のウクライナ軍なら7日ほどで使い果たしてしまう。
だから節約せねばならず、ここ数週間は1日2000発くらいしか撃っていない。
NATO全体の軍事予算はロシアの10倍で、合算したGDPはロシアの25倍に当たるが、それでも今のウクライナに必要なだけの武器弾薬は製造できない。
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