コラム

招待制「クラブハウス」の高いハードルと陰キャの矜持

2021年02月10日(水)12時20分

私は世の中が幾らAIを礼賛し、iPhoneを持っていない人はダサいとか、これからは電気自動車の時代だと言われても、CDを持ち歩いて志ん朝(三代目)の落語を聞き、紙で書籍と新聞と雑誌を読み、燃費効率の悪いガソリン車に乗り続け、ガラケーを使い続けるだろう。

だがこんな化石化した変人は、必ず対抗勢力として社会に残存しなければならない。対抗勢力の不在は、社会を硬直化させ、社会から弾力性を喪失させる。私がクラブハウスに参加するのはいつの日になるのか未知であるが、あえて参加しないという選択肢もまた一興ではないか。

しかし私が何かの拍子で現在保有しているandroidを紛失し、買い替えの検討に入った際、クラブハウス参加の為にiPhoneを買い求める、という欲求が全然無いと言えばウソになる。人間の心情とはかくも複雑怪奇の塊である。

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プロフィール

古谷経衡

(ふるや・つねひら)作家、評論家、愛猫家、ラブホテル評論家。1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2014年よりNPO法人江東映像文化振興事業団理事長。2017年から社)日本ペンクラブ正会員。著書に『日本を蝕む極論の正体』『意識高い系の研究』『左翼も右翼もウソばかり』『女政治家の通信簿』『若者は本当に右傾化しているのか』『日本型リア充の研究』など。長編小説に『愛国商売』、新著に『敗軍の名将』

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