コラム

中国「輪廻転生廃止は許さない」

2011年03月08日(火)17時26分

 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は昨年、後継者は自分が生きている間に指名するか、いっそ選挙で選ぶことになるかもしれないと語った。本来は死後にその生まれ変わりと認定された者が後継者となるべきところだが、それを中国政府に選ばれてしまうのでは、チベット人の支持は得られないと懸念したからだ。

 だが昨日ロイターが伝えたところによると、中国政府は例によってダライ・ラマの考えに猛反発している。


 中国政府に任命されたチベット自治区のパドマ・チョリン主席は、ダライ・ラマに輪廻転生を廃止する権利はないと語り、チベット対する中国の強硬姿勢を改めて鮮明にした。「そんなことは許されない。不可能だと思う」と、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)の傍らで彼は語った。

「われわれはチベット仏教の歴史的慣例と宗教儀式を尊重しなければならない」と、チベット人で元人民解放軍兵士のパドマ・チョリンは言う。「輪廻転生を失くすなど、人が決められることではない」

 中国政府がチベットの宗教的伝統の将来を案じてくれるなんて、涙が出そうだ。

<訂正>本文中、当初「チベット自治区トップの張慶黎(チャン・チンリー)共産党委書記」とあったのは、中国政府に任命されたチベット自治区のパドマ・チョリン主席の誤りでした。お詫びして訂正します(本文も訂正済み)。

──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年03月07日(月)11時38分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 8/3/2011. © 2011 by The Washington Post Company.

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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