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米政府で次々と要職に就くテック企業重役
最初のCIOを務めていたヴィヴェク・クンデラ氏の時代には、オープン・ガバンメントというイニシアティブの下、政府が持っている多くのデータが公開された。そのデータを使って、さまざまなディベロッパーたちがデータを読み込んで政府の行動をよく理解できるようなしくみを開発したり、一般の人々の役に立つようなサイトを開発したりしている。政府のデータを公開して透明性を増しただけでなく、政府だけではできないことを外部の人々も巻き込んでオープン開発的な手法で実現しようというアプローチは、これもホワイトハウスの現代性を感じさせる。
チーフ・デジタル・オフィサーに選ばれたのは、ツイッターや新しいメディアサイトのミディウムに在籍してきたジェイソン・ゴールドマン氏、そして、フェイスブックのエンジニアだったデビッド・リコードン氏がホワイトハウス付けのディレクター・オブ・ITになった。ゴールドマン氏は、デジタル・テクノロジーを用いてホワイトハウスのアピールに務め、リコードン氏はホワイトハウス自体のITインフラを向上させる役割を担う。
一般企業で上層部にいたこうした人材は、大きな報酬を積まれてホワイトハウスに来たわけではないだろう。おそらく年俸は何分の1、何10分の1になるのを覚悟しての決断だと思う。けれども、テクノロジー面で遅れている政府を何とかして、国の役に立ちたいという意識があるのだろう。彼らが数年で交替するのも、別に骨を埋めようとやってくるわけではなく、短期決戦的に特定の目標に取り組もうという目安を持っているからと察せられる。
ただ、こうしたスターらがやって来たからと言って、政府のテクノロジーが一夜で刷新されるわけではない。オバマケアはのっけからサイトの不具合でつまずいたし、今でも政府関連の技術は旧式のものが多い。
それでも、こうした職を新たに設け、実力ある民間の人材を雇うことで、ホワイトハウスの努力がかなり伝わっている。これは、コミュニケーションという点では成功だろう。また、政府と企業的思考とのハイブリッドが少しずつ感じられるようになっているという点は、その努力が少しずつ実を結んでいる証拠だ。
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