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感情計測テクノロジーが開く新ビジネスの可能性
エモーション(感情)が、次の新しいテクノロジーになりつつある。テクノロジーであると共に、商売のネタになりそうだ。
というのも、人の感情をいろいろな方法で推測できる方法が出てきたからである。たとえば、人の声の調子から、怒っている、ハッピー、急いでいる、気が散っているといったいろいろな状態がわかる。あるいは、顔の表情から、喜んでいる、楽しんでいる、スリルを感じている、集中しているといったことがわかる。
人間ならば、ちょっとした表情の変化やしぐさで相手の感情を何となく感じることができるわけだが、これを機械がやるというわけだ。コンピューターに備えられたカメラやマイクロフォン、あるいはスマートフォンなどが音声や表情をキャッチ、それがクラウドで分析されて、「ハッピー度20%、集中度15%、共鳴度10%」などという数字になって出てくるのだ。
計測の際には、いろいろな要素が使われる。声ならばイントネーションや強さ、しゃべる速さ、使う言葉などがそのキーになる。何でもイントネーションに込められた感情は、何語であっても共通しているのだという。表情の場合は、口角が上下する度合い、目尻や目のかたちの変化、眉の動き、眉の間のしわ、頬の動きなどが計測される。表情の乏しい日本人でもどこかがきっと動いているわけで、それをすかさずキャッチするのだ。
たとえば、ビヨンド・バーバルという会社がアップルのティム・クックCEOのスピーチを音声分析したところ、最初は心配で緊張していたのが、そのうちフレンドリーな雰囲気になり、最後になると暖かさとクリエイティビティーにあふれた感情構成になったのだという。こうした分析は、リアルタイムでも可能なものだ。
さて、こうした感情テクノロジーはどんなところで使われるのだろうか。
はっきりしているのは広告である。テレビ広告をモニターに見せて、相手を引き込んでいるか、笑わせているか、といったことが分析できる。作り手の思い込みで広告を制作するのではなく、またモニターの人たちの言葉に頼るのではなく、実際の感情が計測できるということになっている。
また、カスタマーセンターでも使える。電話をかけてきた人が怒っているのかどうかをいきなり数字が表示すれば、それなりの対応の準備ができるだろう。今後もっと進むと、怒った人用の対応マニュアルが、自動的に担当者の画面に出てくるようになることだろう。生々しい感情も、先方では機械で処理されるようなものだ。
すでにハリウッドの映画でも使われているという。これも制作途中の映画をモニターに見せ、どこで緊張するかとか感情が高まるかとか、ストーリーや映像の効果を確かめるのだ。もはやクリエイティビティーというのは、こうして数学的、統計的に作り上げられるのだなあと感慨深い。
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