コラム

日本でもAmazon Echo年内発売?既に業界は戦々恐々

2017年01月30日(月)15時00分

 米国では、オンライン映画配信のNetflixとAmazonが映画配給権の争奪戦を繰り広げているというが、Amazonは映画事業単体で黒字になる必要がない。本業のECで十分に収益を上げることができるからだ。競合の専業事業者と同等のサービスをより低料金で消費者に提供できる。それがAmazonの最大の強みだ。

 日本では、NetFlixはスタンダードプランで月額950円。Amazonのプライムビデオは、Amazonプライム会員だと無料で利用できる。プライム会員は、速達サービスや、音楽聞き放題サービス、無制限の写真ストレージなどのサービスを含めて、年会費3900円。一月当たり325円に相当する。映画を見るためだけにプライム会員になったとしても、NetFlixよりもお得感がある。

 またAmazonプライムの映画やドラマを見るのにタブレット端末がほしいのであれば、プライム会員であれば「fireタブレット」が破格値の5980円で購入できる。

 デバイスやコンテンツ単体で儲ける必要がないので、ここまでのコストパフォーマンスを提供できるわけだ。

 儲けを度外視で挑んでくるライバルに、勝てる企業などあるのだろうか。


次はどの領域に参入するのか

 Amazonは、これから日本でもプライムビデオに力を入れるもよう。ダウンタウン松本人志さん出演のオリジナル番組の広告が、このほどJR山手線の電車内に掲載されていた。Amazonがオリジナルコンテンツを日本で展開するのも、その宣伝を電車内で展開するのも、極めて異例。日本市場にも本気になりだしたということだろうか。

 次はどの領域に参入してくるのだろうか。米国では、ビデオチャットのサービスに乗り出すという噂や、ソーシャルロボットを製作中だという噂もある。

 ECという本業で収益を確保できているのだから、どの領域に進出しても儲け度外視でシェアを奪っていくことだろう。

 躍進するAmazonに対して、もはや打つ手はないのだろうか。ある経営者は「もはやノンストップ。打つ手があるとすれば、独禁法違反などで規制してもらうことぐらいだろうか」と語っていた。

 Amazon Echoの黒船は、まもなく日本の岸に押し寄せてくる見通しだ。


*より詳しい情報を知りたい方は、著者が主催する勉強会やオンラインサロンにご参加ください

・TheWave湯川塾「オピニオンリーダーたちと議論する革命前夜」【39期塾生募集中】Yahoo!安宅氏、バスキュール朴氏、NVIDIA井崎氏、TechCrunch西村氏など、豪華講師陣が勢揃い!!

湯川鶴章オンラインサロン 湯川の日々の取材メモを全公開!

ビジネスマンのためのAI講座 なんど同じ質問をしても怒らないAIエンジニアが講師

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

アングル:インドで試される中銀デジタル通貨の実力、

ビジネス

FRBのクック理事、政策決定に金融情勢も検証と表明

ビジネス

米国株式市場=続伸、ナスダックは四半期ベースで20

ビジネス

イタリア、チャットGPT使用禁止 欧米初 個人情報

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:小泉悠×河東哲夫 ウクライナ戦争 超分析

2023年4月 4日号(3/28発売)

戦争の「天王山」/ウクライナ戦車旅団/プーチンの正体......。日本有数のロシア通である2人の特別対談・前編

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    19歳のロシア女性「ヒグマが私を食べている!」と実況 人肉の味は親熊から仔熊に引き継がれる

  • 2

    生地越しにバストトップが... エムラタ、ばっさりショートに「透け過ぎ」衣装でベッドにごろり

  • 3

    北朝鮮軍の「エロい」訓練動画に世界が困惑!

  • 4

    モスクワ上空に不気味な「黒い輪」出現 正体めぐり…

  • 5

    女性兵士50人が犠牲に...北朝鮮軍が動揺した「鬼畜事…

  • 6

    戦争の焦点は「ウクライナ軍のクリミア奪還作戦」へ…

  • 7

    ロシアとの戦いで「ウクライナ軍は世界一の軍隊にな…

  • 8

    「体が大きく曲がったクジラを目撃した!」──スペイン

  • 9

    大事な部分を「羽根」で隠しただけ...米若手女優、ほ…

  • 10

    北朝鮮の「プリンセス」キム・ジュエ、栄養失調の国民よ…

  • 1

    生地越しにバストトップが... エムラタ、ばっさりショートに「透け過ぎ」衣装でベッドにごろり

  • 2

    19歳のロシア女性「ヒグマが私を食べている!」と実況 人肉の味は親熊から仔熊に引き継がれる

  • 3

    大丈夫? 見えてない? テイラー・スウィフトのライブ衣装、きわどすぎて観客を心配させる

  • 4

    「見られる価値のない体なんてない」 車椅子に乗った…

  • 5

    仲間を襲うニシキヘビにたかるマングースの群れ、皮…

  • 6

    北朝鮮軍の「エロい」訓練動画に世界が困惑!

  • 7

    金融のドミノ倒し、次はドイツ銀行か

  • 8

    女性兵士50人が犠牲に...北朝鮮軍が動揺した「鬼畜事…

  • 9

    大事な部分を「羽根」で隠しただけ...米若手女優、ほ…

  • 10

    北朝鮮の「プリンセス」キム・ジュエ、栄養失調の国民よ…

  • 1

    大事な部分を「羽根」で隠しただけ...米若手女優、ほぼ丸見えドレスに「悪趣味」の声

  • 2

    推定「Zカップ」の人工乳房を着けて授業をした高校教師、大揉めの末に休職

  • 3

    【写真6枚】屋根裏に「謎の住居」を発見...その中には...

  • 4

    ざわつくスタバの駐車場、車の周りに人だかり 出て…

  • 5

    生地越しにバストトップが... エムラタ、ばっさりシ…

  • 6

    【悲惨動画3選】素人ロシア兵の死にざま──とうとう…

  • 7

    プーチンの居場所は、愛人と暮らす森の中の「金ピカ…

  • 8

    ウクライナ軍兵士の凄技!自爆型ドローンがロシア戦…

  • 9

    「この世のものとは...」 シースルードレスだらけの…

  • 10

    女性支援団体Colaboの会計に不正はなし

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story