最新記事
米司法

トランプ関税2審も違法判断、「自爆災害」とクルーグマン 関税返還なら財政危機も

Trump Facing 'Self-Inflicted Disaster,' Nobel Prize-Winning Economist Says

2025年9月1日(月)19時47分
マーサ・マクハーディ
「解放の日」のトランプ

世界に激震が走った相互関税発表の日(4月2日) REUTERS/Carlos Barria

<「景気は絶好調」と主張する一方で「経済的緊急事態」を根拠に、関税を発動した自己矛盾を突かれた>

アメリカのドナルド・トランプ大統領が経済に対して「自ら招いた災害」に直面していると、ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンが述べた。

連邦控訴裁判所は8月30日、いわゆる「トランプ関税」の大半が違法であるとの判断を下し、一審にあたる国際貿易裁判所の判断を支持した。確定すれば、アメリカ政府はこれまでに徴収した関税を返し、財政危機にも陥りかねない。

今回の判断は、関税そのものを違法としたわけではない。問題とされたのは、トランプが1977年の「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を根拠に「経済的緊急事態」を宣言し、議会の承認を得ずに関税を一方的に設定した点だ。裁判所はこのプロセスが法を逸脱していたと判断した。
クルーグマンは自身のブログで「これは完全にトランプが自ら招いた災害だ」と指摘した。

「彼は議会の共和党を説得すれば、あの狂った貿易政策も通せたはずだ。だが彼は我慢できず、法をねじ曲げてでも独裁的に事を進めようとした」

今回の判決は、トランプが掲げてきた既存の貿易政策を抜本的に覆す戦略にとって、大きな打撃となる。彼には1974年通商法などの代替的な権限もあるが、それらはより限定的で、迅速かつ広範な措置には向いていない。

食と健康
「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社食サービス、利用拡大を支えるのは「シニア世代の活躍」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化

ビジネス

デジタルユーロ、大規模な混乱に備え必要=チポローネ

ビジネス

スウェーデン、食品の付加価値税を半減へ 景気刺激へ

ワールド

アングル:中ロとの連帯示すインド、冷え込むトランプ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中