最新記事
ブラジル

一体なぜ? 貿易黒字なのに「関税50%」...トランプがブラジルにこだわる「個人的な理由」

Trump’s “Breakfast Tax” Against Brazil

2025年7月14日(月)17時49分
アリック・ウィアソン(本誌米国版コラムニスト)
トランプ米大統領と握手を交わすブラジルのボルソナロ前大統領

ホワイトハウスでトランプと握手するボルソナロ(左、2019年) OLIVIER DOULIERYーABACAPRESSーREUTERS

<トランプ米大統領による関税50%の通告は、ブラジル国内に大きな波紋を広げている。ただしアメリカはブラジルから「痛烈なしっぺ返し」を受ける可能性も──>

ブラジルからの輸入品に50%の関税を課す、というトランプ米大統領の最新の脅しを経済の面から理解しようとしても無駄だ。その本質は政治的思惑、つまり苦境の盟友を救おうとする試みであり、経済的合理性のかけらもない。

一般的な経済指標に基づけば、関税引き上げの根拠はない。アメリカは昨年、ブラジルとの貿易で74億ドルの黒字を記録している。過去15年間でも計4100億ドルの黒字だ。


関税引き上げの最大の根拠は、ブラジル政府のボルソナロ前大統領に対する扱いだ。ボルソナロは2022年の大統領選の結果を認めず、クーデターを企てたとして刑事訴追されている。

トランプはブラジルのルラ大統領に宛てた書簡で、起訴を「国際的な恥」と非難。「自由選挙」を侵害するものであり、どういうわけか「アメリカ人の言論の自由の権利」も侵害しているとまで示唆した。

これは外交ではない。個人的感情に基づく政治だ。ボルソナロはトランプの最も忠実な外国の盟友の1人。トランプは貿易を国益ではなく、自分とそっくりの容疑で起訴された政治的パートナーを守るために武器化している。

食と健康
「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社食サービス、利用拡大を支えるのは「シニア世代の活躍」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、8月は5.4万人増 予想下回る

ビジネス

米の雇用主提供医療保険料、来年6─7%上昇か=マー

ワールド

ウクライナ支援の有志国会合開催、安全の保証を協議

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中