最新記事

中台関係

中国が福建省と台湾の「統一」計画を発表、同時に軍事圧力も

China's military begins show of force in Pacific after US moves

2023年9月14日(木)17時16分
チャールズ・ラベリー

台湾周辺の演習に参加する人民解放軍の空軍機(8/19) Eastern Theatre Command/REUTERS

<来年1月の台湾総統選に向けて軍事行動はますますエスカレートする>

【写真】中国が発表した新しい公式地図

中国政府は、台湾との一方的な「融合発展計画」を発表した同じ日に、演習と称して海軍と空軍で台湾を取り囲んだ。

台湾国防部は9月13日午前、台湾周辺の空域で中国の軍用機20機超を確認したと発表した。「殲10」戦闘機を含むこれらの軍用機は台湾南西の空域に入り、中国人民解放軍海軍陸戦隊の空母「山東」と共に訓練を行ったという。

中国政府は、8月に台湾軍が米本土での軍事演習に参加するなど米台接近が進んでいることに苛立ち、台湾周辺での軍事演習を増やしている。中国は台湾を自国の一部としているが、台湾は主権を手離す気はない。

「和平を望む態度ではない」

台湾国防部の13日のSNSは以下のように述べている。「本日午前6時に、台湾周辺で中国軍の軍用機22機と艦艇20隻を確認した」と発表。台湾軍の部隊が状況を監視しており、「(台湾軍の)航空機、艦艇や地上配備型のミサイルシステムでこれらの活動に対応するよう指示を出した」

またロイター通信が台湾高官(匿名)の発言を引用して報じたところによれば、同じ13日には055型駆逐艦をはじめとする中国の艦船20隻がバシー海峡と宮古海峡を通って太平洋に入った。

台湾の外交部長である呉釗燮は述べた。「台湾にこれほどの脅威をもたらし、南シナ海での活動を活発化させ、8月にはロシアとの合同軍事演習を行ったことを考えると、中国が本当に台湾との和平を望んでいるとは思えない」

こうした威圧的な行動の傍ら、中国政府は12日、福建省を対岸の台湾と「融合発展」させる計画を発表した。国営の新華社通信が報じたところでは、「中国政府は福建省を、台湾海峡両岸の融合発展のためのモデル地区にする」という。共産党中央委員会によれば、これは「全ての分野で海峡両岸の融合した発展を深化させ、祖国の平和的統一を進める」ものだという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソニー、米パラマウントに260億ドルで買収提案 ア

ビジネス

ドル/円、152円台に下落 週初から3%超の円高

ワールド

イスラエルとの貿易全面停止、トルコ ガザの人道状況

ワールド

アングル:1ドルショップに光と陰、犯罪化回避へ米で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中