最新記事

感染症対策

イタリア非常事態、首相がスーパーや薬局除く全店舗閉鎖を命令 新型コロナウイルス対策強化へ

2020年3月12日(木)10時51分

イタリア市民保護局は11日、新型コロナウイルスの感染による死者が過去24時間で196人増え、計827人になったと発表した。増加数は国内感染が初めて確認された2月21日以降で最多となる。ベニスで撮影(2020年 ロイター/MANUEL SILVESTRI)

イタリアのコンテ首相は11日、国民向けのテレビ演説を行い、新型コロナウイルス対策を強化すると発表、バー、レストラン、美容院などに業務停止を命じた。

首相は、スーパーマーケット、食料品店、薬局を除くすべての店舗が閉鎖されると表明。企業に対しても、必要不可欠ではない部門の業務停止を求めた。

社員食堂については、顧客と少なくとも1メートル以上の距離をとれる場合は、営業継続を認める。

首相官邸によると、今回の対策は12日から25日まで実施する。

列車や都市部の公共交通機関の運行は継続する。配管・機械関連業務やガソリンスタンドなど必要不可欠と考えられるサービスも継続する。

こうした対策は、イタリア経済に大きな影響を及ぼすとみられる。コンテ首相は新型コロナ関連の経済対策として250億ユーロ(283億ドル)を拠出すると表明。1週間前は75億ユーロしか見込んでいなかった。

グアルティエリ経済・財務相は、今年の経済成長が「大幅なマイナス」になる可能性を警告。

11日に発表された経済対策を踏まえると、今年のイタリアの財政赤字は、欧州連合(EU)が定めた上限である国内総生産(GDP)比3%を確実に上回るとみられる。

イタリア政府は9日、感染者が多い北部地域に適用していた移動制限を全土に拡大すると発表。不必要な移動や集会を4月3日まで見送るよう求めていた。

新型コロナ死者827人 感染者1.2万人

イタリア市民保護局は11日、新型コロナウイルスの感染による死者が過去24時間で196人増え、計827人になったと発表した。増加数は国内感染が初めて確認された2月21日以降で最多となる。

新型コロナの感染者は2313人増の1万2462人。これまでに感染が確認された患者のうち1045人が完治した。集中治療室(ICU)で治療を受けている患者は1028人。

*見出しと内容を更新しました。

[ローマ 11日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・一斉休校でわかった日本人のレベルの低さ
・豪でトイレットペーパーめぐって乱闘 英・独のスーパーは個数制限で買い占め防止
・スペイン、首都マドリードで新型コロナウイルス患者急増 保健当局「医療対応に限界」


20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症 vs 人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ラファ住民に避難促す 地上攻撃準備か

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月も50超え1年ぶり高水準 

ビジネス

独サービスPMI、4月53.2に上昇 受注好調で6

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中