最新記事

流行

米国でヨガや瞑想の人気が拡大:ヨガをした人2240万人、瞑想した人は5年で3倍

2018年11月14日(水)18時40分
松岡由希子

キャンピングカーを改造した移動型瞑想スタジオがNYマンハッタンに登場 Carlo Allegri-REUTERS

<米国でヨガや瞑想を行なっている人が、ここ5年に急増していることがわかった>

古代からの自己鍛錬法として世界的に知られるヨガや瞑想が、この5年間に、米国で老若男女問わず人気を集めていることがわかった。

米国では、毎年実施する「国民健康聞取り調査(NHIS)」に加え、国立補完統合衛生センター(NCCIH)と国立衛生統計センター(NCHS)が作成した補完的な健康調査を2002年から5年ごとに実施している。

過去12ヶ月にヨガを行った米国成人2240万人

2012年の第3回調査と2017年の第4回調査の結果を比較したところ、過去12ヶ月にヨガを行った米国成人の割合は、2012年時点の9.5%から2017年に14.3%まで増え、その規模は2240万人にのぼるとみられている。また、瞑想を行った米国成人は、2012年時点の4.1%から2017年には14.2%と、およそ3倍増えた。2017年の調査結果によると、男性よりも女性のほうがより多くヨガや瞑想を行っているという。

ヨガや瞑想を取り入れているのは、成人のみにとどまらない。米国の4歳から17歳までの子どものうち、過去12ヶ月にヨガを行った割合は、2012年時点の3.1%から2017年に8.4%に増え、瞑想を行った割合は、2012年時点の0.6%から2017年に5.4%に増えている。

NHIS_2018_yoga.jpg

国立補完統合衛生センターのデビッド・シュルトレフ博士は、2017年の調査結果について「かつてないほど多くの米国人が心と身体を重視するアプローチを取り入れていることを示すものだ」と述べている。

糖尿病患者、循環器系疾患、高血圧の管理...に効果的という研究も

この調査では、ヨガや瞑想の活用が広がっている理由について明らかにされていないが、米ウィスコンシン大学マディソン校のリチャード・デビッドソン教授は、ニュースサイト「ヴォックス」の取材に対し、「現代の様々な社会的、文化的要因によって、人々が抱える不安やストレスは増幅しています。おそらく、このような現代の環境に順応する手段として、より多くの人々がヨガや瞑想に関心を寄せているのでしょう」と分析している。

ヨガや瞑想を学べる講座やジム、スタジオが各地で増えているほか、マインドフルネスの流行もあり、TV番組やオンライン動画、スマホアプリなど、自宅などでもヨガや瞑想や気軽に取り入れやすい環境が整ったことも、普及がすすんでいる要因のひとつとみられている。

ヨガの呼吸法が糖尿病患者のQOL(生活の質)の向上に役立つという研究結果があるほか、ヨガは、循環器系疾患のリスク要因を軽減したり、高血圧の管理に役立つといわれている。ストレス解消や心身の健康増進にヨガや瞑想を取り入れると一定の効果が期待できそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、利下げごとにデータ蓄積必要 不確実性踏まえ

ビジネス

ソニー、米パラマウントに260億ドルで買収提案 ア

ビジネス

ドル/円、152円台に下落 週初から3%超の円高

ワールド

イスラエルとの貿易全面停止、トルコ ガザの人道状況
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中