最新記事

女性問題

北朝鮮、女性への性的暴行や栄養障害が多発 脱北した帰国者に顕著

2017年11月21日(火)15時15分

11月20日、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、北朝鮮の女性は教育や雇用機会を奪われており、しばしば、家庭内暴力や職場での性的暴行の被害に遭っているとの報告を公表した。写真は中国との国境の川・鴨緑江で洗濯をする女性。4月に新義州市で撮影(2017年 ロイター/Aly Song)

国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は20日、北朝鮮の女性は教育や雇用機会を奪われており、しばしば、家庭内暴力や職場での性的暴行の被害に遭っているとの報告を公表した。

独立専門家で構成するCEDAWは、定例の検討作業として北朝鮮の記録を審査しており、特に、帰国した脱北女性が性的暴行や虐待を受けているとの懸念を表明した。

委員会によると、同国の女性は高等教育、司法制度、治安や警察力、「あらゆる非伝統的分野の仕事」のリーダーシップや管理職において「過小評価されるか、または不利な条件に置かれている」という。

メンバーであるニコル・アムリン氏はロイターに対し「主な問題点は、そもそも情報が足りないことだ。法律、要因、国内機構の情報にわれわれはアクセスできない」と述べ、「多くの質問をした」と話した。

北朝鮮は委員会に対し8日、女性の権利向上とジェンダー間の平等の実現に努めていると主張。ただ、核開発計画に対する西側の経済制裁により、母親や子供らが被害を受けていると述べていた。

委員会は、同国では家庭内暴力が多発しており、問題に関する意識は「非常に限られている」上、被害者が利用できる法的サービス、心理社会的サポートやシェルターが用意されていないと指摘。経済制裁が女性に不均衡なインパクトを与えているとの見方を示し、妊婦もしくは授乳中の女性の28%が「重度の栄養障害」に苦しんでいると述べた。

アムリン氏は「北朝鮮政府に対して、食料や栄養の問題に非常に、非常に注意するよう要請した。これは基本的欲求であり、政府はこれに投資し、この分野での責任を果たす義務があるからだ」と語った。「残念ながら、この問題が早期に解決するかどうかは分からない」という。

[ジュネーブ 20日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




1128-thumb500.png【本誌11/28号】特集:保存版 北朝鮮の歴史

核・ミサイル開発に日本人拉致問題、テロ活動...... 不可解過ぎる「金王朝」を歴史で読み解く

北朝鮮 ストーリーで読む金王朝の歴史
タイムライン 北朝鮮史年表1948-2017
解説 今こそ知りたい10のテーマ
1.金王朝 北を牛耳る華麗なる一族
2.朝鮮戦争 300万人が死んだ米ソ代理戦争
3.朝鮮労働党 金一族の理念を実現する「道具」
4.テロ活動 世界を驚愕させた蛮行の数々
5.中朝関係 血の友情のまぼろし
6.南北関係 対立と融和の果てに北は韓国を無視
7.主体思想 孤立の元凶か、生みの親も亡命
8.核・ミサイル開発 核保有国への野望は60年代から
9.経済危機 貿易額の推移に表れる栄枯盛衰
10. 拉致問題 安倍が取り戻せない残された被害者
詳しくはこちら=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、金利据え置き インフレ巡る「進展の欠如」指

ビジネス

NY外為市場=ドル一時153円台に急落、介入観測が

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ワールド

イスラエル軍、ガザ攻撃「力強く継続」 北部で準備=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中