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人工斜面(法面)の緑化を外来種から在来種に転換――東興ジオテックが描くグリーンインフラの新標準

2025年10月20日(月)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
長崎県オフィスパーク大村の林内にある鳥の巣。東興ジオテックが施工した法面緑化の施工6年2カ月後の様子

東興ジオテックが法面緑化工事を担う「オフィスパーク大村」(長崎県)林内の鳥の巣(施工6年2カ月後)

<豪雨時の土砂流出を抑える――その最優先から始まった法面緑化は、今や環境配慮との両立が不可欠となった。在来種子の品質を起点に設計・調達・検査・供給を一貫させ、斜面防災をグリーンインフラとして更新している>

日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。

私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

近年、山間部や道路脇の法面(のり面=人工斜面)の崩落や土砂災害を誘発し得る集中豪雨の頻発が、社会課題となっている。とりわけ線状降水帯による豪雨は予測が難しく、都市近郊から里山、奥山に至るまで、幅広い地域の災害リスクを高めている。

そのため法面整備の重要度が増しているが、法面にはコンクリートがむき出しのタイプと、緑化されたタイプの2種類がある。緑化したほうが景観的に望ましいが、従来の法面緑化には課題があった。外来種への依存だ。

なぜ、外来種だとよくないのか――。インフラ整備にも「環境配慮」が求められる時代になる中、東興ジオテック株式会社は従来技術の課題を乗り越え、侵食防止や景観対策にとどまらない、在来植物を軸としたグリーンインフラ型の法面緑化を進めている。

生物多様性保全のため、外来種から在来種へ

東興ジオテックは、1956年創業の専門工事会社だ。

主な事業は、斜面の安定化を担う法面事業、地盤改良や基礎工事の地中事業、設備の保温・保冷・耐火材などを扱うエネルギー環境関連事業など。

近年は、老朽化した橋梁など人工構造物の補修・補強を行うリニューアル事業(いわゆる「グレーインフラ」の更新・延命)にも取り組んでいる。

同社の強みは、地域生態系に配慮できる法面緑化を、種子の品質管理から施工までひとつながりで進められる点にある。現場の環境を見て、外来種がよいか在来種がよいか、どの程度まで緑化を図るかを決め、それを設計に落とし込むやり方だ。

法面緑化の分野では、長年にわたり、外来の牧草類や外国産の在来種の種子が広く使用されてきた。外来種には成長と被覆が速く、持続的という利点があるためだ。

しかし地域生態系や生物多様性の保全を考えれば、決して望ましい方法ではない。

外来牧草類で緑化した法面が野生シカのエサ場になる、イネ科の外来牧草類が花粉症のアレルゲンになる、といった問題も指摘されてきた。

そこで在来種による緑化を進めたいわけだが、その土台となるのが、国内産在来種子の確保と品質保持である。法面緑化の施工会社は全国に多数あるが、国内産在来種子を安定供給するための専用施設と独自技術を保有する企業は、東興ジオテックの他にないという。

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