ニュース速報
ビジネス

日銀、25年度GDPを小幅上方修正の可能性 関税影響後ずれ=関係筋

2025年10月20日(月)17時59分

  日銀が10月29、30日の金融政策決定会合で議論する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、今年度の実質国内総生産(GDP)見通しを引き上げる可能性があることが分かった。日銀本店前で1月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 20日 ロイター] - 日銀が29、30日の金融政策決定会合で議論する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、今年度の実質国内総生産(GDP)見通しを引き上げる可能性があることが分かった。複数の関係筋が明らかにした。米国の関税政策の日本経済への影響がそれほど顕在化しておらず、経済下押しのタイミングが後ずれすることが主因で、日銀では、関税の影響が今後出て、経済がいったん下押されるとのシナリオは変わらないとの声が多い。

前回7月の展望リポートでは、25年度の実質GDPの政策委員の予測中央値は前年度比0.6%増、26年度は0.7%増だった。25年度については海外経済が底堅く推移、9月調査の日銀短観も良い結果だったとの指摘があり、小幅に引き上げられる可能性がある。25年度が上方修正される半面、26年度はその分、下方修正される可能性がある。

7月の展望リポートでは、コメをはじめとする食料品価格の高騰を反映して25年度の物価見通しを大幅に引き上げたが、同リポート公表以降の物価指標はおおむね想定通りに推移しているとの声が日銀では多い。

経済や物価の見通しを巡るリスクバランスも変化がないとみられる。前回リポートでは、経済の見通しについて25年度、26年度ともに「下振れリスクの方が大きい」とする半面、物価見通しは「おおむね上下にバランスしている」とした。経済について、25年度は上方修正の可能性があるものの、関税影響に伴う下振れリスクの方が依然として大きいとの見方が日銀では出ている。

日銀は経済・物価見通しの確度が上がっていけば、その度合いに応じて政策調整していく方針だが、利上げ再開に当たって、最重要となるのは米経済の先行きをどう判断するかだ。植田和男総裁は16日の会見で、10月の決定会合では米国で自身が収集した情報に加え、10月末にかけて出てくるデータや情報を加味した上で議論すると説明した。日銀では、米政府閉鎖の余波で発表される重要指標が減少しており、各種情報をもとに見通しをどう立てるかが重要との声が出ている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ルーブル美術館強盗、仏国内で批判 政府が警備巡り緊

ビジネス

米韓の通貨スワップ協議せず、貿易合意に不適切=韓国

ワールド

自民と維新、連立政権樹立で正式合意 あす「高市首相

ワールド

プーチン氏のハンガリー訪問、好ましくない=EU外相
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 6
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 7
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中