最新記事
NFT

「NFTアート」を購入しカーボンオフセットに貢献? 米スタートアップ企業が展開

2023年4月5日(水)19時05分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)
バッファーロー姿のNFTアート

エコサピエンスの発表したNFTアートの一つ、バッファロー姿の「ブラサピエン」 © Ecosapiens

<これからのアートはコンセプトだけでなく実質的な環境対策も視野に>

ブロックチェーン技術の分野で発展したNFT(非代替性トークン)がアートの世界にも入ってきて、爆発的と言われるほど人気が高まっている。デジタルの画像や音声のNFTアートは複製が難しい。日本でもNFTアートのオンラインプラットフォームだけでなく、ギャラリーやデパートなどリアル空間でもNFTアート展が多数開催されている。

NFTアートには所有する楽しさがある。購入すると、イベントに招待されたり所有者同士で交流ができるといった付加価値が付くことも特徴的だ。例えば、こちらのOpen Townは国内外でNFTアートを販売し、売り上げを町作りに使用。作品所有者は地元の人たちと交流できる。そして、「環境に貢献する」というNFTアートも少しずつ登場している。

環境問題と関連したNFTアート

米スタートアップ企業のエコサピエンス(2022年設立)は、サンフランシスコとニューヨークにスタッフをもつ。もっと多くの人たちに気軽に環境活動に取り組んでもらうことはできないかと考え、NFTアートを使った方法を考案した。同社のAIを使ったアートコレクション(12種類)は、2月下旬にリリースされたばかり。このコレクションはバッファローやシカ、クラゲやチョウといった動物が直立二足で体を支えており、人間に近い外見の生き物だ。みな個性があり、環境保護のためのパワーを備えているというストーリー設定になっている。

バッファロー姿の「ブラサピエン」は観察力が鋭く責任感が強く、怒りっぽい。鼻孔や肌で大気中のCO2を吸収し、そのCO2は角となって大きくなり、落ちた角は環境整備時にハンマーや塀として使える。クラゲ姿の「ジェラサピエン」は物静かで、のんびりした性格。海の生物圏を脅かすものを触手で刺す攻撃的な面もあるが、触手からアミノ酸を放出し、海水温の上昇でサンゴから追い出された藻類に栄養を与えてサンゴの再生を促す(サンゴは藻類と共生しており、藻類を失うと白くなる「サンゴの白化現象」が起きる)。

現在は人間の姿の「エコサピエン」のみ350体を販売しており、ほかの種類の発売は後日になる。「エコサピエン」は大量のCO2を吸収する木を体から生やし、葉にそのCO2をため、最終的に葉はダイヤモンドの形になる。「エコサピエン」は生物を救うため、それらの遺伝子を組み替える能力もある。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豪ウエストパック銀、新CEOにミラー氏 富裕層部門

ワールド

米とイラク、連合軍撤退計画で合意 26年末にかけ2

ワールド

ギリシャ、クルーズ船観光客に課税計画 オーバーツー

ビジネス

中国人民銀、先週も国債を長期売り・短期買いか=上海
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元で7ゴール見られてお得」日本に大敗した中国ファンの本音は...
  • 3
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が増加する」農水省とJAの利益優先で国民は置き去りに
  • 4
    メーガン妃が自身の国際的影響力について語る...「単…
  • 5
    ロシア国内の「黒海艦隊」基地を、ウクライナ「水上…
  • 6
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 7
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 8
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 9
    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…
  • 10
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 5
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 6
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 7
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 8
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 9
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 10
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中