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イラン関係ハッカー集団、トランプ氏側近のメール公開と脅迫

2025年07月01日(火)13時20分

6月30日、 2024年の米大統領選挙前にトランプ米大統領の関係者から盗んだメールの一部をメデイアに流布させたイラン関係のハッカー集団が、今回はさらに多くのメールを公開すると脅迫している。写真は米国とイランの旗とパソコンを使う人のイメージ。2022年9月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

[ワシントン 30日 ロイター] - 2024年の米大統領選挙前にトランプ米大統領の関係者から盗んだメールの一部をメディアに流布させたイラン関係のハッカー集団が、今回はさらに多くのメールを公開すると脅迫している。

「ロバート」という偽名で活動するハッカー集団は29日と30日にロイターとオンラインチャットをし、ワイルズ米大統領首席補佐官、トランプ氏の弁護士リンジー・ハリガン氏、トランプ氏顧問ロジャー・ストーン氏、元ポルノ女優でトランプ氏批判者となったストーミー・ダニエルズ氏のメールアカウントから約100ギガバイト分のメールを入手したと語った。

ロバートは入手したメールを売却する可能性があるとしたが、計画の詳細やメールの内容について明らかにしなかった。

ボンディ米司法長官は、ロバートの行為を「非道なサイバー攻撃」と非難した。

ホワイトハウスと米連邦捜査局(FBI)はパテルFBI長官の声明で対応し、「国家安全保障の侵害に関与した者は誰でも、法が最大限許す限り徹底的に捜査・起訴されるだろう」と述べた。

米国土安全保障省サイバー・インフラ安全局(CISA)はXへの投稿で、「このいわゆるサイバー 『攻撃』はデジタルプロパガンダに過ぎず、標的は偶然の一致ではない。これはトランプ大統領にダメージを与え、わが国に立派に仕えている公務員の信用を失墜させることを目的とした計算的な中傷キャンペーンだ」と述べた。

ハリガン氏、ストーン氏、ダニエルズ氏の代理人はコメントの要請にすぐに応じなかった。

イランの国連代表部もコメント要請に応じていない。イラン政府はこれまでに、サイバースパイ活動に対する関与を否定している。

ロバートは24年の米大統領選の終盤に活動を開始し、ワイルズ氏を含む複数のトランプ氏側近のアカウントに侵入したと主張した。

ロバートはその後、ジャーナリストにメールを拡散。ロイターはこれまでに、トランプ氏と現在は保健長官を務める元大統領候補ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏の代理人の弁護士と金銭的に取り決めした内容を記したとみられるメールなど、一部の流出資料が本物であると確認した。

米司法省は24年9月の起訴状で、イラン革命防衛隊がロバートのハッキング活動を指揮したと主張した。ロバートはロイターとのチャットで、こうした疑いについてコメントを避けた。

ロバートはトランプ氏の当選後、これ以上の流出を予定していないとロイターに語り、今年5月にも「もう引退した」と述べた。

しかし、今月になってイスラエルとイランの12日間におよぶ空爆戦争と米国のイラン核施設空爆があった後、ロバートは活動を再開した。

イランのサイバースパイ活動について執筆したことのあるアメリカン・エンタープライズ研究所の研究員、フレデリック・ケーガン氏は、今回の攻撃でイランは深刻な打撃を受けており、そのスパイらは米国やイスラエルのさらなる行動を招かない形で報復しようとしている可能性が高いとの見方を示した。

ロイター
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