最新記事
NFT

「NFTアート」を購入しカーボンオフセットに貢献? 米スタートアップ企業が展開

2023年4月5日(水)19時05分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

最終のレベル7「大型植物」

最初のレベル0「サナギ」 © Ecosapiens

このコレクションは、各生物の成長が完了するまで追加料金を払いながら、レベルアップを繰り返すことができる。今回の「エコサピエン」は、最初はレベル0のサナギの状態で、レベル7の「大型植物」が最終レベルだ。レベルアップの度に、それまで持っていたものは消滅し、次のレベルの姿を受け取る仕組みだ。なお、「エコサピエン」は二次取引ができる。

12種類のコレクションは、アーティストのギャレット・ケーン氏がデザインした。ケーン氏は、木や草花をベースに、粘土や3Dプリントの部品、LEDランプなどを組み合わせた印象的な彫刻作品を手掛け、著名なアートフェアーでも紹介されている。環境に高い関心を持っており、作品の売り上げの10%を環境保護チャリティーに寄付している。

SDGsに取り組む信頼できる団体で、カーボンオフセット

同社のコレクションは、所有してレベルアップしていく姿を楽しむことが目的の1つだ。もう1つの目的は、購入するとカーボンクレジットが付いてくるため、地球環境に貢献する点だ。

「エコサピエン」を例に取ると、サナギから人間の姿になるレベル1に500ドル払うことで16トン分のカーボンクレジットが付き、このクレジットは別の場所でのカーボンオフセット(CO2削減活動)に使われる。16トンは、アメリカ人のCO2年間平均排出量だという。レベル2から最後のレベル7までは、毎回100ドル払って各2トンのカーボンクレジットが付く。一定期間内にレベル7まで購入すれば、28トンのCO2削減に貢献できる。

このカーボンクレジットは、北部放牧地トラスト(NRT)という非営利団体が発行している。NRTは「ケニア北部放牧地炭素プロジェクト」というカーボンオフセットプログラムを実施している。このプロジェクトは、気候の変化、干ばつ、家畜の過放牧によって劣化した広大な草原を健全な状況に戻し、30年間で5000万トンのCO2を除去・蓄積することを目指している。草原の回復は、東アフリカクロサイなど絶滅危惧種の生息環境の改善にもつながる。また、本プロジェクトは、「貧困をなくそう」などSDGsの6つの目標に取り組んでいることも注目に値する。

同社は、今後、ほかのカーボンオフセットプログラムも加える予定だ。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英中銀、5対4の僅差で0.25%利下げ決定 今後の

ワールド

IS、豪銃乱射事件「誇りの源」と投稿 犯行声明は出

ビジネス

ECB、成長率とインフレ率見通し一部上方修正=スタ

ビジネス

米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 7
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 10
    欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中