最新記事
NFT

「NFTアート」を購入しカーボンオフセットに貢献? 米スタートアップ企業が展開

2023年4月5日(水)19時05分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

環境活動は「手軽さ、手頃な価格、文化的・社会的な魅力」で促進

エコサピエンスは、先のケーン氏とニハール・ニーラカンティ氏が共同設立した。起業のアイデアは、ベンチャーキャピタルに勤務していたニーラカンティ氏にひらめいた。

「2020年10月のことだったと思います。自宅で朝起きて、景色を眺めて考えました。気候変動はもちろん非常に広い分野に渡るとはいえ、気候変動の取り組みはなぜこんなに大変なのか、消費者としてリサイクルやコンポストといった活動以外に何ができるのかと自問したのです。エコな商品やサービスは従来のものより費用がかかることが多く、ライフスタイルの変化も必要(概して、面倒)になるので、消費者の日々の行動にインパクトを与えることは難しいです。でも、ワンクリックで簡単にできる、経済的な魅力を高める(手頃な価格にする)、文化的・社会的な特典を付けるという3つのポイントをクリアできれば、気候変動の取り組みは魅力的になるはずだと思いました」

「NFTは美しく、クリエイティブという文化的な面があり、コミュニティーを作って他者と繋がることができます。人々の行動に変化を起こすには、Web3やNFTが最良の方法だと思ったのです」(暗号通貨やブロックチェーン、NFTなど次世代のインターネット(Web3)について情報を提供するサイト「クリプト・アルトゥルーイズム」のポッドキャスト第89回より

エコサピエンスという社名は、ケーン氏のアイデアだ。猿人からホモサピエンスへの道のりが大革命だったように、同社のNFTアートがリアルな世界で革命を起こし、人々が環境保護に関して大きく変化するようにとの願いを込めたという(上記ポッドキャストより)。

本格販売は、これから

今回のNFTアートのリリースは、最初の小さな一歩だ。販売期間終了までに何体が最終レベルに達するか、購入者が惹かれる点はアート性かインパクトの強さかなどを評価し、今後のサービスに生かす。将来は、企業向けのNFTアート販売や環境をテーマにしたアート展示など、様々なアイデアを形にしていく。

日本でも環境問題への関心は随分高まってきた。しかし、最近の調査では、エコや環境問題に「関心がある」と答えた人は28%で、具体的な行動はしていない「やや関心がある」人は56%、ノーエコ派は16%という結果もあり、多くの人が日常的にエコ行動をしている状況とは言い難い。環境問題と結びついたNFTアートが広まれば、そのほかのエコ行動の促進にもつながっていくかもしれない。


s-iwasawa01.jpg[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」監事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、空挺部隊数千人を中東に増派へ イランへの派遣は

ワールド

イスラエル、レバノン南部に「緩衝地帯」構想 国防相

ワールド

欧州委、ロ産原油輸入停止法案先送り 「地政学的状況

ワールド

米TSA職員450人超辞職、2月政府閉鎖以降 空港
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 7
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 8
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 9
    表情に注目...ニコール・キッドマン、大富豪夫妻から…
  • 10
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中