マシンもジムも不要だった...鉄格子の中で甦った、失われし「筋力の秘儀」キャリステニクスとは?
初めての犯罪。1979年のそれでサン・クエンティン州立刑務所に入り、その後の23年間のうちの19年間を、地獄のアルカトラズにとって代わったアンゴラ(別名ザ・ファーム)やマリオン(ザ・ヘルホール)など、アメリカでもっともタフな監獄の中で暮らしてきた。
わたしは、また、いにしえのキャリステニクスを知る男でもある。おそらく、いま生きている誰よりも。服役期間の最後のほうで、わたしはエントレナドール(Entrenador、スペイン語で「コーチ」を意味する)というニックネームで知られるようになっていた。
それは、鉄格子の中に入ってきた「新入り」が、超高速で強靭なパワーを手に入れるため、わたしの知識を求めたからだ。
たくさんの支持と対価を得ることになったが、それは、実際役に立つものだったからだ。わたしは、壁などの支えを使わないで1ダース以上のハンドスタンド・プッシュアップ(逆立ちによる腕立て伏せ)ができた。
それは、オリンピックの体操選手でも、おいそれとまねができない離れ業だ。できるだけ強く健康でいること、また、タフでいること。それが監獄内でのわたしの仕事になった。
しかし、その仕事は、お洒落なクロムめっきでカバーされたジムで、日焼けした気障な男たちとスパンデックスを着たセクシーな女性たちに囲まれて学んだものではない。
鉄格子の外にいるパーソナルトレーナーのほとんどは3週間の通信コースで資格を手に入れることができる。それとはちょっと違う。