最新記事
ヘルス

食後70分以内に散歩、筋トレ、階段の上り下り。血糖値スパイクは「食べたら動く」で防げる

2022年11月10日(木)21時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
階段

Konstantin Aksenov-iStock.

<食後は内臓を休ませたほうがいいという言説もあるが、実は世界各地に食後の散歩を勧める伝統がたくさんある。食後のその習慣が血糖値にもたらす健康効果は絶大。グラフでその様子もはっきりわかる>

「血糖値スパイク」と呼ばれる急激な血糖値の上昇は、あらゆる病気の原因になると言われている。糖尿病、慢性疲労、不眠や更年期症状、ひいてはうつに至るまで、多くの病気の引き金をひいているのだ。

それを防ぐには日々の食習慣を整えることが重要だが、何をどんなふうに食べるか、それを実行するとどんな変化があるかをリアルタイムに可視化することはこれまでできなかった。

生化学者で、各国でベストセラーとなった書籍『人生が変わる 血糖値コントロール大全』(かんき出版、原書はGlucose Revolution)の著者であるジェシー・インチャウスペは、持続血糖測定器を24時間着用し、血糖値スパイクが起こる様子をグラフ化。好きなものを食べながら血糖値を最適にするテクニックをインスタグラムで発信し、世界中で話題になった。

そのテクニックをわかりやすく、詳しく解説した『血糖値コントロール大全』から一部を抜粋・再編集し、2回に分け掲載する(この記事は第2回)。

※第1回はこちら: 血糖値が正常な人は12%だけ。「砂糖よりハチミツが健康」と思っている人が知るべき糖との付き合い方

◇ ◇ ◇

筋肉の収縮がグルコースを燃やす

まぶたは3~4秒ごとに脳から電気信号、すなわちインパルスという形でメッセージを受けとっている。その信号に含まれているのは簡単な指示だ。「さあ今、瞬きしてください。そうすれば、目に水分を補給して、このすばらしい本を読みつづけられます」

体中で筋肉が収縮することによって、わたしたちは歩いたり、寄りかかったり、つかんだり、もちあげたりすることができる。意識的に動かせる筋肉(指など)もあれば、そうではない筋肉(心臓など)もある。

意識的にでも無意識にでも、筋肉が何度も強く収縮するよう指示されるほど、エネルギーがたくさん必要になる。エネルギーがたくさん必要になるほど、グルコースがたくさん必要になる(筋肉細胞のミトコンドリアは脂肪からもエネルギーを得られるが、グルコースが豊富にあれば、そちらのほうが手っとり早い)。

ちなみに、細胞のためにグルコースを燃やしてつくるエネルギーには、特別な名前がある。アデノシン三リン酸、略してATPだ。グルコースの燃焼率は、体の動きの強さ、つまり筋肉が必要とするATPの量によって違う。くつろいでいるとき(ソファにすわってテレビを観ているとき)より、激しく運動しているとき(公園で走る犬をつかまえるため全速力で走っているとき)のほうが、1000倍も多いこともある。

筋肉が新たに収縮するたびに、グルコース分子が燃やされる。これを、血糖値曲線を平坦にするために利用すればいいのだ。

食後筋トレも効果的

「食後に100歩」というインドの慣習のように、食後の散歩を勧める伝統はたくさんあり、どれももっともな理由がある。グルコース(たとえば、どんぶり1杯の白米のグルコース)が体に流れこんだとたん、2通りのことが起こりうる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英BP、第2四半期は原油安の影響受ける見込み 上流

ビジネス

アングル:変わる消費、百貨店が適応模索 インバウン

ビジネス

世界株式指標、来年半ばまでに約5%上昇へ=シティグ

ビジネス

良品計画、25年8月期の営業益予想を700億円へ上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中