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Apple Watchは「築くべくして築かれた」ブランド(ITジャーナリスト林信行と振り返る:前編)

2020年7月8日(水)11時30分
林 信行 ※Pen Onlineより転載

初代Apple Watchが発売されたのは2015年4月24日のこと。5周年を迎えたいまシリーズは「5」を数え、19年の出荷台数は3070万台と、数多の高級時計ブランドが名を連ねるスイス製時計の総出荷台数2110万台を超えた。

ジョブズ没後に、Apple精神の継承を象徴した新製品。

今回は、スマートウォッチはおろか「時計」を代表するプロダクトにまで急成長した、Apple Watchの実績を振り返ってみたい。

Apple Watchは2011年の11月、スティーブ・ジョブズが亡くなった後に初めてリリースされた新カテゴリーの製品だ。だが、14年秋に発表される前までは、ITメディア界隈で「もうAppleから新製品は出ないのではないか」などと、まことしやかに噂されていたことを思い出す。

というのも、ジョブズがAppleに復帰した1998年以降、アップルは98年にiMac、2001年にはiPodとiTunes、04年こそジョブズのガン発覚もあり前年発表のiTunes Storeのみのリリースに留まるが、07年にはiPhone、10年にはiPadとほぼ3年周期で新製品および新サービスをリリースしてきたのだ。しかし13年にはなにもリリースされず、なんのインフォメーションもなかったことから"ジョブズロス"の影響がささやかれ、そうした噂がメディアに広まっていたのである。

<参考記事>AppleとGoogleがタッグを組んだ"接触確認アプリ"とはなにか、ITジャーナリスト林信行が解説する。

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14年秋のApple Watch発表会。初代MacやiMacが発表されたデ・アンツァカレッジのフリント講堂で行われた。周辺の道路はすべて封鎖され、校内は完全にAppleによる貸切状態。外にある巨大駐車場に展示用の白い展示パビリオンがつくられていた。

そんななか、14年9月9日にApple Watchの発表イベントが開催された。1984年の初代Macintoshの発表をはじめ、Appleが力を入れた発表を行う際に必ず使用してきたデ・アンツァカレッジのフリント講堂が会場だったことからも、彼らの意気込みがわかろうというもの。しかもこの発表会はテクノロジー、IT系企業にとって過去に例のない異色なイベントとなった。

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