最新記事
投資

投資に役立つ考え方「DCF法」に慣れよ...辞めゴールドマンが明かす「富裕層の知恵」

2025年2月26日(水)10時55分
田中 渓
富裕層 投資家

写真はイメージです PeopleImages.com - Yuri A-shutterstock

<大切なのは「将来価値を現在価値で考える」こと。ゴールドマンで使っている、その投資が妥当かどうかを評価するための考え方「ディスカウントキャッシュフロー」とは?>

*この記事は、ゴールドマン・サックスに17年勤め、年収1億円以上の「億からの人」の思考法や習慣を熟知する田中渓氏の著書『億までの人 億からの人――ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)から、一部を抜粋したものです(本編は抜粋第2回)。

※抜粋第1回:富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほうがいい」と断言する金融商品

◇ ◇ ◇

「1年後の100円」より「今日の100円」の価値の高さを知る

「今日もらう100円と1年後にもらう100円、どちらの価値が高いと思いますか?」これは、フェアバリューを考えるときの初歩的な質問です。

答えはもちろん今日の100円です。金融の教科書の1ページ目に出てくる話ですが、簡単に説明します。

たとえば、今日の100円は預金金利1%の銀行に預けるなどの運用によって、1年後に金利を受け取り101円に増やせるからです。これが投資ならなおさら、株式や債券に投資して1年後には100円以上に増やせる可能性があります。

一方、1年後に100円を受け取る場合、この1年間に投資で得られたはずのリターンを機会損失しているということになります。時間があればお金を増やせる可能性や機会があることから、この価値を「タイムバリュー」ともいいます。

投資機会だけでなく、インフレ局面の場合も「1年後の100円」より「今日の100円」のほうがお得です。物価が上昇している場合、今日は100円で買えたものも1年後には100円では買えなくなるからです。

これを「将来価値を現在価値で考える」といいます。投資でいえば、将来のキャッシュフローを現在の価値に割り引くことで、その投資が妥当かどうかを評価する、ということになります。

そのために僕たちが使っているのがディスカウントキャッシュフロー(DCF)法という考え方です。企業やプロジェクトの経済的価値を評価するときに使い、リターンやリスクをフェアに測ります。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中