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巨匠ゴダールの思考を探求する展覧会が開催中。映画を生まれ変わらせる「再構築」とは

2025年7月17日(木)17時00分
道廣オリヴィエ一真(本誌記者)
《感情、表徴、情念 ゴダールの「イメージの本」について》展

《感情、表徴、情念 ゴダールの「イメージの本」について》展

<カンヌ国際映画祭で史上初めてスペシャル・パルム・ドールを受賞したゴダール最後の長編に関連した展覧会が日本で初開催された。そのテーマは現代社会にこそ必要なものかもしれない>

映画史を語る上で欠かせない巨匠であり、2022年に他界した映画監督ジャン=リュック・ゴダールの思考に入ることができる展覧会「ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの「イメージの本」について》展」が新宿・歌舞伎町の王城ビルで開催されている(8月31日まで)。

本展は、ゴダール最後の長編となった映画『イメージの本』(2018年)を映像インスタレーションとして再構成したものだ。ドイツやスイスなどで開催されてきたものだが、今回、過去最大級の規模で日本に上陸した。

1950年代末にフランスで起こった映画運動、ヌーヴェルヴァーグを代表する映画監督であるゴダール。従来の映画セオリーに捉われず、実験的な映画を次々と生み出した鬼才だが、第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを超越するスペシャル・パルムドールを映画祭史上初めて受賞した『イメージの本』もまた傑作の一つとして知られている。

映画は1世紀以上にわたる歴史、戦争、宗教、芸術などの変遷を、さまざまな映画の引用でコラージュし振り返る5章立てで構成されており、シーンやカットが目まぐるしく切り替わっていく。

「展覧会では、ゴダールが編集で繋げる前のイメージを断片的に見ていくことで、鑑賞者が自身なりに再構築し、作品を生まれ変わらせることができるのです」

本展のキュレーターで、晩年のゴダールの右腕だったファブリス・アラーニョはインスタレーションの意義についてこう語る。展覧会では映画の各章をさらに断片化し、引用される映像の順序も常時変化させ、会場内に設置された50以上のスクリーンに投影している。

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