最新記事

BOOKS

47歳の佐久間宣行が20歳の若者に「育んでほしい」と願うもの

2023年1月12日(木)11時55分
朴順梨(ライター)

――今年20歳を迎える人たちに、何かメッセージを。

今の20歳の子たちって、僕が20代の頃より聡明でいろいろなことに対する準備ができていると思うんです。同時に、僕が20代の頃にはなかったSNSによって、10代の頃から誰かと比較されることに慣れ過ぎているんじゃないかとも思います。

僕がいわきにいた頃は、東京とは絶望的な差があったけれど、クラスの奴ぐらいしか比較対象がいなかったので、傷つくことはそんなになかったんですよね。東京の人にはかなわないだろうという絶望はあったけれど。

でも今はSNSを介して皆が同じ場所にいられるから、絶望はないかもしれないけれど、誰かとの比較が簡単にできてしまう。そういう意味での傷つき方があると思うんですよ。それに、空気を読むとか周囲を伺うということをみんながし過ぎるので、乱暴な人ってあまりいませんよね。

でもSNSが人生の全てではないので、自分の中だけに価値観のコアになるようなものを、じっくり育んでほしいと言いたいです。一億総比較の時代だからこそ、自分の感情やセンスはSNSに晒さず、壊されないように心の中だけで大事にして、それを抱えながら社会に出て行ってほしいと思います。

――20歳前後の数年間って、そういう「感情やセンスを育てる」時間でもあるような気がします。

とんでもなく分厚いSF小説を2日徹夜して読むとか、留年でもして時間があるときじゃないとできないじゃないですか(笑)。でも、その時間にしてきたことが今につながっているというか、毎日下北沢で芝居ばっかり見ていたとかそういうこと、自分の血肉になってるという実感があるんです。

「人とは違う自分だけのもの」は自分自身で見つけないとならないけれど、社会に出ると日々の仕事に追われるから、見つけるのは結構大変なことなんです。そういう意味でも20歳前後の時期って、自分だけのものを探す大事な時間なんじゃないかと思うんですよね。



『新版 20歳のときに知っておきたかったこと
 ――スタンフォード大学集中講義』
 ティナ・シーリグ 著
 高遠裕子 訳
 三ツ松 新 解説
 CCCメディアハウス

 ※アマゾンはこちら
 ※楽天ブックスはこちら

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


佐久間宣行のずるい仕事術
 ――僕はこうして会社で消耗せずにやりたいことをやってきた』
 佐久間宣行 著
 ダイヤモンド社

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

三井住友FG、欧州で5500億円融資ファンド 米ベ

ワールド

シリア外相・国防相がプーチン氏と会談、国防や経済協

ビジネス

円安進行、何人かの委員が「物価上振れにつながりやす

ワールド

ロシア・ガスプロム、26年の中核利益は7%増の38
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中