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吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だが勝機あり...一風堂でも日高屋でもない、戦略をマネすべき「有名飲食チェーン」とは?

2025年7月2日(水)12時05分
鈴木貴博(経済評論家・百年コンサルティング株式会社チーフエコノミスト)*DIAMOND Onlineからの転載

さらに、アジア・オセアニア地域中心に海外店舗の約半数はライセンス提供による出店となっています。しかし、このような一風堂の成功に関して言えば、吉野家の現在地では真似ができない一風堂の強みが存在します。

それは「IPPUDO」というブランドの力が非常に強いことです。一風堂の発祥は博多ラーメンですが、この博多ラーメンというのが実はインバウンドの旅行客に非常に人気があるラーメンカテゴリーです。そして、国内で「一風堂」という強力なブランドの博多ラーメンのチェーン化が完成しています。

このブランド力を武器に、海外で「IPPUDO」のフランチャイズを募ることができている。味や食材は国ごとに異なるけれども、ブランドを武器に現地のフランチャイジーをコントロールすることができる。ここが戦略上の要諦です。ですから、まだ国内でそれほどのチェーンブランドが確立できていない吉野家には一風堂の戦略を模倣することはできません。


次に味千ラーメンの戦略を見てみます。味千ラーメンは熊本の重光産業が運営するローカルチェーンですが、中国での展開はライセンスを提供した香港の起業家の潘慰(ファンウエイ)の力による成功の側面が大きかったといえます。

例えとして適切かどうかは異論があるかもしれませんが、マクドナルドの日本での成功が故藤田田氏の力によるものが大きかったことや、ボストンの小さなドーナツ店だったミスタードーナツの日本での成功がダスキンの企業力によるものが大きかったことと類似点があるように感じます。

もちろん重光産業の立てた戦略があって、このライセンス提供戦略が成功したことは間違いありません。成功のポイントを簡単にまとめると、まず一店あたりのライセンス料を1カ月5万円と比較的低く設定したことと、その一方で潘慰にライセンスを提供するにあたり中国の生産工場投資を先に確約させたことが重要です。投資をした以上、香港・中国で運営規模を拡大しなければならなくなりました。

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