「具体化と抽象化だけで、仕事の10割はうまくいく」...なぜリーダーは「抽象的」でなくてはならないのか?
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<社員の意識を変えるには、組織図を「90度回転する」だけだった...>
いま、ビジネスで有効だと言われているのが「具体と抽象」という概念だ。企業コンサルタントの谷川祐基氏は「具体化と抽象化だけで、仕事の10割はうまくいく」と言う。それはなぜか?
社内コミュニケーション、会議、トラブル、仕事への情熱など、仕事上の課題をすべて「具体と抽象」で解決する、新刊『仕事ができる 具体と抽象が、ビジネス10割解決する。』(CCCメディアハウス)より一部抜粋する。
ピラミッド型の組織図は「上下関係」の意識をすり込む
ここで、あなたの属する組織の組織図を描いてみてもらいたい。完全なものでなくていい。
もしかして、あなたの会社には「株主総会」とか「コンプライアンス委員会」とかいったあなたのよく知らない部署があるかもしれない。そういった、よく知らないものは無視して、あなたの知っている部分だけ図にしてもらえればよい。
よくある組織図は、次のような「ピラミッド型」のものだろう(図1)。会社なら、いちばん上に社長がいて、その下に何人かの役員がいる。さらにその下に部長、課長と続き、底辺を多数の一般社員が支えている。
軍隊が発祥とされるのが、このピラミッド型組織(ヒエラルキー型組織)だ。指揮系統が単純で、トップの指令が組織全体に行き渡りやすいというメリットがある一方で、非常に不人気な組織の形でもある。
階層が多くなると指示に時間がかかるようになり、一般社員が持っている現場の情報が上部の階層にいる社長までなかなか伝わらない。
特に、組織の多数を占める一般社員からすると、重たい上部を支えて苦しむうえに自由も利かないように感じられる。まさに、エジプトのピラミッドの最下段の石のようなつらさである。
上の階層に上がろうとしても、ポストの数は上に行くほど少なくなるので出世競争は激化する。なかなか上に上がれない敗者が大量に生まれてしまう組織形態でもある。
結論から言えば、上司と部下の不幸な関係を呼んでいるのはすべて、この組織内の「上下」関係という思い込みである。