最新記事

経済制裁

ロシア国債のドル利払い、一部債権者が受領 市場は今後に警戒

2022年3月18日(金)11時00分
ルーブル貨幣とドル紙幣

16日に利払い期限を迎えたロシアのドル建て国債を巡り、ロシアがコルレス銀行と呼ばれる中継銀行に指定したJPモルガンが利払いを受け取り、支払代行機関のシティに入金したことが関係者の話で分かった。2018年10月撮影(2022年 ロイター/Maxim Shemetov)

ロシア財務省は17日、ドル建て国債2本の利払い(計1億1700万ドル)に向け送金を行ったと発表した。複数の関係筋によると、一部の債券保有者はドル建てで資金を受け取ったという。

利払い期日は前日に迎えていた。30日間の猶予期限を経ても支払いがない場合、外貨建て債としては約1世紀ぶりの債務不履行(デフォルト)となる恐れがある。

ある関係者は「私の予想に反してクーポンがドルで支払われた」と述べた。また別の関係者は、債券保有者である顧客が支払いを受け取ったと明かした。

まだ資金を受け取っていない債権者もいるものの、ここ数日、ロシアの国営および民間企業の多くからハードカレンシー(国際通貨)債の支払いを受けたと述べ、支払いを楽観視しているとした。

これに先立ち、ロシアのドル建て国債を巡り、ロシアがコルレス銀行と呼ばれる中継銀行に指定したJPモルガンが利払いを受け、支払代行機関のシティに入金したことが関係者の話で分かった。

関係者によると、利払いは米ドルで行われた。シティへの入金後にチェックされ債券保有者に分配されるという。

シティグループはコメントを控えた。

ロシアのドル建て国債の利払いを巡っては、ロシアのウクライナ侵攻を受けた西側諸国の制裁措置により、ロシア政府が履行できるかが注目されていた。関係者によると、銀行は処理を行う前に当局に確認したという。

今回の利払いに続き、6億1500万ドル相当の支払いが月内に控えている。元本返済が始まるのは4月4日で、20億ドルの国債が満期を迎える。

JPモルガンのジョニー・グールデン氏は、「今週の支払いが行われたとしても、今後の支払いが異なる対応になる可能性があり、投資家は注視する必要がある」とメモで指摘。今後の利払いがロシアの連邦証券保管振替機関(NSD)を通じて決済されるか、契約にルーブルで支払うオプションがあるためという。

米財務省外国資産管理室(OFAC)は今月、米国人がロシアの財務省、中銀、政府系ファンドの発行した「債券ないし株式に絡む利子、配当、償還金」の受け取りに伴う金融取引を承認。ただ、承認期間は5月25日までで、ロシアはその後も年内に20億ドル近い対外債務支払いがある。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トムソン・ロイター、第1四半期は予想上回る増収 A

ワールド

韓国、在外公館のテロ警戒レベル引き上げ 北朝鮮が攻

ビジネス

香港GDP、第1四半期は+2.7% 金融引き締め長

ビジネス

豪2位の年金基金、発電用石炭投資を縮小へ ネットゼ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中